画像は株式会社幻冬舎ウェブサイト「書籍詳細: 食べものだけで余命3か月のガンが消えた 全身末期ガンから生還した、私のオーガニック薬膳ライフ」より
本サイトでも既報のように、20万部超のヒットとなった『食べものだけで余命3か月のガンが消えた 全身末期ガンから生還した、私のオーガニック薬膳ライフ』(高遠智子/幻冬舎)に虚偽・経歴詐称疑惑がもちあがっている。
「週刊新潮」(新潮社)6月19日号では、著者の高遠智子氏がかかっていた「スキルス性の卵巣がん」という病気が存在しないという指摘を受け、続いて「FLASH」(光文社)7月15日号でも「本に書かれていた放射線治療法が医学的にありえない」という疑問が投げかけられた。さらに「FLASH」では、パリ・リッツホテルの料理教室に4年通い、北京中医薬大学の薬膳専科に1年間留学していたという高遠氏の経歴がいずれも現地の記録になく、詐称の可能性があることも報じられた。
がんという生死に関わる問題で、虚偽の経歴と虚偽の体験談をでっちあげ、自分の薬膳料理を喧伝していたとしたら、著者の行為はきわめて悪質だといわざるをえない。
もちろん、版元の幻冬舎の責任も重大だ。幻冬舎といえば、カリスマ編集者の見城徹氏が1993年、角川書店を退社し設立した出版社だが、設立以降、毎年のようにベストセラーを生み出し、今では小学館や講談社とも肩を並べるほどの存在になっている。そんな大手出版社が詐欺商法まがいの出版物を出していたとしたら、それこそ信用問題にかかわるだろう。
しかし、この問題ではもうひとつ、責任を追及されるべきメディアがある。それはテレビ朝日の朝の情報番組「情報満載ライブショー モーニングバード!」だ。同番組は『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』発売から1ヶ月後の6月6日に「週刊人物大辞典」というインタビューコーナーで、著者の高遠氏を大々的に紹介。その売れ行きに大きく貢献しているのだ。実際、書店のデータを見ても、同書は「モーニングバード」放映を境に売れ行きが倍増している。
佐村河内氏のゴーストライター騒動では、ブームの火付け役となったNHKが検証番組を放映しておわび。同氏を紹介した民放各局も軒並み謝罪をする事態となった。だとしたら、虚偽記述や経歴詐称がもちあがっているこの『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』についても、テレビ朝日は一刻も早く、放送番組審議会などで論議し、その真偽を視聴者にきちんと説明すべきではないだろうか。