「現地の調査によれば、エサの大量投入による残渣やし尿などで海自体が汚染され、養殖のサケの皮や粘膜に吸血寄生する『海ジラミ』という虫が発生し、それを退治するための殺虫剤の使用が激増しているのだ。そのほかにも、さまざまなバクテリアやウイルスへの感染対策としての殺菌剤、抗生物質の投与などで安全性が脅かされているというのが現実なのだ」(同書)
さらに、チリ産サケの鮮やかな紅色はエサに混ぜこまれている人口合成色素「アスタキサンチン」の色なのだという。天然のアスタキサンチンには毒性がないが、人工のアスタキサンチンの安全性はまだ確認されていないとのことだ。
大手チェーン店などでは、主食のご飯やパンにも危険物質が含まれている可能性がある。古くなってもろくなったお米や品質の悪い中国製の米を精米するときに、精米改良剤というものを使ってお米が割れるのを防いだり、においを抑えてまるで新米のような光沢を出すのだが、この精米改良剤というのは「『液体プラスチック』とも呼ばれ、プロピレングリコールという石油精製によって作られる化学薬品が主体」なのだという。しかも、プロピレングリコールは、薬事法においては表示指定成分として表示が義務化されているのに、多くの食品メーカーは「加工助剤だから表示義務はない」と、表示を拒否している。
一方、パンについて、同書は最大手の山崎製パンを名指しで批判している。山崎製パンではパン生地改良剤として臭素酸カリウムを使っているが、「この臭素酸カリウムは、発がん性を指摘されて、一度は全面禁止になったものだ」という。
同書は他にも、発がん性が指摘されている高濃度の硝酸態窒素が野菜にふんだんに使われていることや、ホテルのケーキバイキングのケーキが大量のトランス脂肪酸まみれであることなども、指摘している。
肉、魚、野菜、主食、そしてデザートまで。外食産業では多くのメニューに化学物質や薬品が使われているということらしい。しかも、外食産業の料理はスーパーで売っている加工食品などとちがい、こうした添加物が表示されていない。
自己防衛という言葉をよく聞くが、こうした現実をつきつけられると、そんなことは不可能に思えてくる。我が身を守るには、信頼できる個人の料理店以外では食事をしないようにすることくらいしか方法はないのかもしれない。
(金子ひかる)
最終更新:2014.07.16 08:49