それにしても、なぜ芸能人はこうも簡単に、占いやオカルトにはまるのだろう。占い師への心酔といえば、少し前に中島知子の騒動があったばかりだし、UFO目撃を口にする芸能人も大御所・北島三郎はじめ、後を絶たない。
そんな疑問に答えているのが博学と評判のタレント・松尾貴史だ。松尾は最近、出版した『なぜ宇宙人は地球に来ない?』(PHP新書)でこう解説している。
〈芸能やテレビの業界に身を置いていると、どうしても「オカルト気質」ともいうべき人が多く(中略)本人の実力だけではどうにもならない「運」に左右される部分が大きく占める世界だけに、ご託宣、占い、縁起担ぎ、オカルト、風水などの「助言」で重大な行動を決めてしまう人までいて、超自然の世界を信奉する人も必然的に多くなっているようだ〉
ちなみに松尾自身は、オカルト完全否定派。同書のなかでも、天文学者フランク・ドレイク博士の説を紹介して、異星人の飛来を真っ向から打ち消している。
〈いわゆるドレイク方程式、ドレイクの公式と呼ばれているものだ。すなわち、「毎年誕生する恒星の数×惑星を持つ恒星の割合×生命の発生に適した惑星の割合×その惑星の中で生命が誕生し得る割合×知的生命が発生し得る割合×高度文明になる割合×その文明の寿命=銀河系内知的文化数」だという〉
つまり、地球で“エイリアンクラフト”のUFOを目撃する可能性は天文学的に低い確率で、ほぼありえないというのだ。他にも、松尾はUFOにまつわるさまざまな噂や陰謀論をひとつひとつひとつ検証して、わかりやすい論理で根拠がないことを指摘している。
最近のUFO肯定派の主張は、世界支配をたくらむ某国の秘密兵器説にまでエスカレートしている。そういう危ない陰謀論をブログで口走り、またぞろ芸能生活の危機、なんてことにならないよう、海老蔵は早めに松尾の著書でも読んで頭を冷やしたほうがいいかもしれない。
(芳賀正典)
最終更新:2018.10.18 05:22