こうして寝ずの家族会議は長期間続いた。時に叱り飛ばし、時に「あんたらのためや」など寄り添う姿勢を見せた角田に対して、三人はいつしか“他人の家族の問題なのに親身になってくれる人”として感謝するようになったのである。最終的に角田が“しばき棒”と名付けられたお手製の拷問器具でそれぞれに暴力を振るうにまで発展し、事件は起こった。
北九州連続監禁殺人事件でも同様だ。主犯の松永とともに殺人容疑で逮捕・起訴され、無期懲役になった内縁の妻・緒方純子はかつて高校の同級生だった松永から電話をもらったことが、地獄の始まりであった。
自分はこうした事件と関係がないと思っていても、気がつけば被害者になっている。それがマインドコントロール事件の恐ろしさなのだ。
(高橋ユキ)
最終更新:2014.07.06 03:04