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あなたも被害者に? マインドコントロール殺人の恐怖の手口

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『マインド・コントロールとは何か』(紀伊國屋書店)

 予想通りの展開というべきだろうか。2014年6月、福岡県筑後市でリサイクルショップを経営する中尾伸也容疑者とその妻・中尾知佐容疑者が従業員を殺害した容疑で再逮捕された。夫婦の周辺では他にも多くの行方不明者がおり、マスコミ報道によると、夫婦は従業員を日常的な暴力や食事を抜くなどの罰で支配。すでに何人かの行方不明者については殺害への関与を認める供述を始めているという。

 こうした事件はこれまでにもいくつか発生している。古くは02年に発覚した北九州連続監禁殺人事件。家族や知人が暴力やセックスによって支配下に置かれ、疑心暗鬼にさせられ、最終的にはお互いがお互いを殺害し、遺体を処理したというものだ。この事件で殺人などの罪に問われた松永太は主犯と認定され、11年に死刑が確定した。死亡者は7人だが、松永の周辺にはほかの行方不明者もいる。

 11年に発覚したいわゆる尼崎事件は、主犯の角田美代子(拘置所で自殺)によって複数世帯の家族が長期間にわたり虐待され、最終的には殺害されるなどした事件だ。角田は20年以上の長きにわたりこうした生活を続けていたとされており、はっきりした被害者数は今もまだ判然としていない。

 これらの事件の特性として共通するのは、主犯によるマインドコントロールの存在である。『マインド・コントロールとは何か』(西田公昭/紀伊國屋書店)によれば、マインドコントロールは、個人を長期間拘禁状態において拷問したり薬物を投与したりして、精神構造を変化させる“洗脳”とは異なり、もっと洗練されていて、物理的にはっきりとした身体的拘束を用いていない事が多いという。確かにこれらの事件においては、被害者や行方不明者は、外に出て他者と接触する機会が持てていることもある。

 では、なぜ彼らは逃げ出さないのか。この点についても同書は詳しく解説しているが、ひとつのポイントは、マインドコントロールする側が閉鎖集団のなかでメンバーに届ける情報を管理することらしい。そうして、まず、「自己や自集団に好意的な感情を抱かせ」る。一方ではメンバー自身に「罪悪感を植え付けたり、恐怖感を与え」、外部の集団への怒りを喚起させたりして常に否定的感情を喚起させる。そして、さまざまな手法を使って「恐怖」と思考を麻痺させる「肉体的疲労」を与え続けるのだという。

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