とにかく感心したのは、5人が文章はつたなくても、へたにギャグに逃げたりせずに、自分の内部にあるものをきちんと言葉にして出そうとしていたことだ。そういう意味では、SMAPメンバーには全員、文学的な才能があるといってもいいかもしれない。
むしろ問題は講師役の百田センセイである。実は、センセイはSMAPの5人の前にお手本を書いて見せて、小説の書き方のコツやテクニックを解説していた。そのお手本というのが、これ。
「女はさっきまで俺を抱きしめていたその手で、見知らぬ男を抱いている。」「女が以前から俺をバカにしているのは気づいていた。」「俺はついに我慢できなくなって男に飛び掛かった。男は乱暴な手ではねのけると、女に言った。『さっきから、この犬、うるさいねん!』」
今どき笑点の大喜利でもやらないような、まさかの“実は犬”オチ。これを見せられたSMAPメンバーも「びっくり!」「なるほど!」みたいな反応もできず、一瞬、微妙な空気がスタジオに広がったほどだった。
元・放送作家の性でタレントをたてるためにわざとデキの悪いものを見本にしたのか。それならいいが、もしかして、ネトウヨ的言論活動に忙しくて本業の小説の腕が落ちているんじゃないだろうか。ファンならずともちょっと気になる百田センセイであった。
(酒井まど)
最終更新:2014.07.06 02:32