35歳になると、中間管理職として部下に指示を出したり、上司のサポートに徹したりと、職場内の立ち位置がより複雑になる。その時に意識したいのが「自分の癖を意識する」こと。立ち位置が上の方が気楽な「姉気質」か、サポートするのが得意な「妹気質」かを自覚しておけば、漠然とした不満から転職を考えるなどの「目の前にある問題から逃げ出すのを阻止することも可能」だという。たしかに環境が変わっても、自分の活かし方がわからなければ、同じ失敗を繰り返すことも多い。自分の知ることが、長く働く環境を作るのかもしれない。
長く働く環境を作る上でもうひとつ大事なことは「SOSを出すこと」。30代前半までは努力が結果に直結しやすく、35歳の働き盛りを迎えると、会社からの重圧も大きくなる。真面目な女性ほどそれに応えようとするが、気力や体力には限界があり、無理をすると仕事に対する意欲がなくなるだけ。「退職はいつでもできます。退職してから、できることがあったことを知り、後悔する人もたくさんいます。退職する前に、できる限り手を尽くしてからも遅くない」と本書にもあるように、SOSを出すことで会社側が個人の限界を把握し、対処できるケースもある。自分の体や立場を守るための強さは、働く女性に必要不可欠だといえるだろう。
一般的に、働く大人の女性といえば、専門分野や資格を持つことが“スキル”だと思われがちだ。しかし、仕事を長く続けていくには、「自分に完璧を求めすぎない」「SOSを出す」といった“自分を許す”スキルのほうが必要なのかもしれない。
(江崎理生)
最終更新:2017.12.07 07:37