もっとも、昨年10月2日と12月4日は、平井大臣らのNTTから接待を受けた日付であることは新聞各社も「文春」の報道で把握している。当然ながら、処分が発表された赤石氏が接待を受けた相手はNTTで、その席に平井大臣が同席していたのではないかという疑念が持ち上がった。
まず、ある記者から“今回の赤石氏の処分はデジタル庁準備中に報道された接待と関係があるのか”という質問が飛ぶ。しかし、これに対して、平井デジタル相はこう逃げた。
「赤石さんは直接私の担当ではなかったということもあって、私からはあまり出過ぎた発言はする必要はないだろうと思うので、事務方に訊いてください」
直属の部下である事務次官級の不祥事が判明したのに、大臣が「出過ぎた発言は必要ない」とはもはや言い訳にすらなっていないが、平井大臣はその後もなりふりかまわず逃げ続けた。
会見の最後には、朝日新聞の記者が「赤石氏が出席していたその会食に大臣は出席していたのか」と質問したのだが、平井デジタル相はなんと「そのことについても、事務方にお問い合わせ願いたい」と回答を拒否したのである。
自分が参加しているかどうかの問題なのに、事務方に聞けとは……。ここまでくると、ふだん弱腰の記者クラブもさすがに黙っていられなかったのだろう。東京新聞によると、会見後には記者団が事務方のコンプライアンス担当に説明を要求。すると、〈当初は「個別の会食の参加者は公表対象ではない」などと繰り返し、事実関係に触れたがらなかった。しかし、記者団がさらに追及すると、担当者は一転、「中には大臣が同席していた会食が含まれていた」と認めた〉という。
そして、24日夕方におこなわれた官房長官の定例会見で加藤勝信官房長官が、平井デジタル相が一部の接待に同席していた事実を認め、大臣給与1カ月分を自主返納すると明らかにした。
しかし、平井大臣は前述したように、「同席の事務方の分も含めて割り勘にしてきっちり払ったからなんの問題もない」と言い切っており、だとしたら、赤石審議官や自身が処分されたことと矛盾が生じる。報道陣がさらに追及の姿勢を見せていたところ、きょう、突然、デジタル庁で説明会が開かれ、「割り勘」が「文春」から取材を受けたあとの「不正隠蔽」に過ぎなかったことが明らかにされたのだ。
だが、現段階では当の平井大臣からは、何の説明も謝罪もない。おそらく総裁選のどさくさにまぎれてなかったことにしてしまう作戦なのだろう。