また、橋本聖子組織委会長も21日に開いた会見で不可解な反応を見せていた。被災3県の子どもたちに聖火リレーを任命した2日後の会見だったためか、橋本会長は開閉会式に「(復興というテーマは)しっかりと入っております」「心に被災地の火がともるようなものが込められたオープニングであることに期待しています」と語ったが(あの内容で自信満々というのも呆れるが)、問題はその発言の前。
記者から、コンセプト発表文書に「復興五輪」の記載がどこにもなかった理由を問われると、橋本会長は「いまも入ってない?」と、まだコンセプトが修正されていないこと自体に驚き、慌てて「リリース上、入っていなかったということでありますけど、これは確実に入らなければいけないものですので、私自身も確実に入るものだとちょっと思っていました」と言い繕ったのだ。
その様子は、組織委がコンセプトの発表文書に記載がないことで批判を受けて、慌てて急場凌ぎの対応をしていたことを物語るものだった。
だが、こうした姿勢は組織委だけではない。菅首相は日本時間23日に公表された米NBCテレビのインタビューのなかで「世界で40億人を超える人がオリンピックを見ることになる。新型コロナウイルスを克服して開催することに真の価値がある」などと発言。「コロナを克服」するどころか感染拡大が止まらない状態なのだが、もはや開催の大義名分は「復興五輪」から「コロナ」に移っている。
本サイトでは以前から、五輪開催決定によって東京で建設ラッシュが起きたために人手不足や建築資材の高騰が起きたことなどから、むしろ東京五輪が被災地の復興を妨げたと指摘してきた。その上、肝心の開会式でも「復興五輪」を消し去るとは──。いかに東京五輪が嘘まみれであるか、またひとつはっきりとしたと言えるだろう。
(本田コッペ)
最終更新:2021.07.25 07:46