前述したように、海外メディアの報道によって組織委は選手村での陽性者が南アフリカのサッカー男子代表チームだと追認し、濃厚接触者の人数も公表した。だが、そうした後手後手の対応によって世界中にその隠蔽体質を露呈させたあとも、いまだに情報をオープンにせず、またも海外メディアによって事実を暴かれるという失態を重ねているのである。
じつは、このイギリス陸上チームに濃厚接触者が出て隔離中というニュースについては、同じくイギリスの五輪出場選手であるハンマー投げのテイラー・キャンベル選手が、本日未明に「いまイギリス選手団の仲間たちと飛行機に乗っている」とした上で、一般の乗客と交わり濃厚接触者となるような事態について「避けようがない」と投稿。キャンベル選手によると、選手団と一般の乗客が交ざって搭乗しており、空いている列にチームで座れるようカウンターで頼んだものの認められなかったとし、「五輪に出るために大変な努力をしてきたが、台無しになる危険に晒されている」と訴えていた。つまり、来日する前の段階から「バブル方式」は崩れており、選手自身が危機感を抱く状況に置かれているのだ。
こうした選手の安全がまったく守られていないという事実は、組織委が濃厚接触者の有無やその経緯についてきちんと公表することで浮き彫りになる問題だ。にもかかわらず、組織委はいまだにその情報をひた隠しにする始末。さらに、本来ならば14日間の隔離が必要な濃厚接触者を、試合6時間前のPCR検査だけで出場可能としてしまえば、一体どんなことが起こるのか。
そして、もし万が一、選手や大会関係者で「一大クラスター」が発生すれば、首都圏の医療提供体制にも波及することになるが、そうした非常事態が起こっても、組織委と政府の隠蔽体質を考えれば、その事実も覆い隠されてしまうだろう。対策がザルであることだけではなく、この隠蔽体質こそを改めさせなければならないのである。
(編集部)
最終更新:2021.07.19 09:21