感染者状況を隠蔽し続ける政府・組織委の姿勢に厚労省アドバイザリーボードメンバーも批判
組織委は「陽性者の国籍を公表すると個人が特定されてしまう可能性が高い」などと言って情報公開を拒んでいるが、今回、南アフリカ側は陽性者の出場種目のみならず名前も公表しており、もはや「プライバシー」を盾にするのは無理がある。さらに、各国のオリンピック委員会や競技団体による公表のみならず、大会がはじまれば出場予定の選手が欠場することでおのずと明らかになってしまうだろう。むしろ、情報を隠すことによって、不信感や不安感は増す一方だ。
実際、陽性者の国籍や出場種目の情報を組織委が「隠蔽」する姿勢に対しては、専門家も疑問視。厚労省新型コロナ対策アドバイザリーボードメンバーである和田耕治・国際医療福祉大学教授も「感染者の状況を周知することは、2次感染を防ぐために重要だ。五輪に対する不信感は高まっており、実態を明らかにしなければ、無用な疑念を抱かせる」と指摘している(毎日新聞ウェブ版17日付)。
だが、組織委はこの「隠蔽」方針をいまだに改めようとはしていない。そして、組織委が明かそうとしない情報が、各国のオリンピック委員会の公表や海外メディアによる報道によって日本国内に伝わるという歪な状態がつづいているのだ。
現に、17日に入国時の検査でスタッフ1人が陽性だったと公表していたチェコのオリンピック委員会は、本日19日、選手村に滞在しているビーチバレー男子代表の選手も陽性と判定されたと公表。組織委は陽性者の国籍を公表していないため、これらの情報もチェコのオリンピック委員会が発表しなければ判明しなかったものだ。
さらに、英メディアのBBCは昨日18日、16日に東京に到着したイギリス陸上チームの選手6人とスタッフ2人が、東京到着時に陽性と判定された人の濃厚接触者と判定され、現在、事前合宿地の施設で隔離に入っていることを報道。同じく英ガーディアンも、選手らが濃厚接触者だと知らされたのは18日に横浜でトレーニングを終えたあとだったことを伝えている。
しかし、この事実について、現時点で組織委からの発表は一切なし。というのも、組織委が公表するとしているのは五輪関係者の陽性者のみで、濃厚接触者については原則、公表しない方針をとっているからだ。