しかも、聖火リレーのスポンサー至上主義は、感染対策に逆行する公道実施強行だけではない。ほかにも、各地でグロテスクなスポンサーファーストの光景が繰り広げられている。
その一つが、コース上にあるスポンサー以外の企業の看板や自販機隠しだ。前述した通り、聖火リレーはコカ・コーラ社がスポンサーに名前を連ねているのだが、リレーのルートは極力、コカ・コーラ社以外のメーカーの自販機を避けて組まれているのだという。
「とくに、著名人が走ったり、メディア取材ポイントなど、人目に触れるところにコカ・コーラ社以外の自販機があるのは絶対NG。どうしても、避けられない場合は、別企業の自販機に幕をかけるなどして隠している」(広告代理店関係者)
たとえば、5月末に聖火リレーが行われた、京都府立京都スタジアムでは、スタジアム内の自動販売機16台のうち、コカ・コーラ以外の企業名が入った8台に、五輪ロゴなどをあしらった幕が掛けられた。
それだけではない。この京都スタジアムはネーミングライツが売却され、現在、「サンガスタジアム京セラ」という名称になっているのだが、リレーが終わる5月26日までの間、外周に掲げられているスタジアム名を示す大看板の「サンガ(SANGA)」と「京セラ(KYOCERA)」の部分が黒い幕で覆われた。
京都新聞は「五輪スポンサー企業以外の企業名を伏せるよう、大会組織委員会から指示を受けた措置」としてこれを報じたが、全国各地で同様のことが行われているのだ。