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池江璃花子復活劇を五輪強行派が利用、「反対派は池江選手に言えるのか?」の大合唱! 門田隆将や安倍前首相も便乗ツイート

 実際、この動画の演出を担当したのは渡辺直美をブタに見立てたルッキズム全開の演出案が問題になった佐々木宏氏だが(ちなみにスタッフクレジットにはMIKIKO氏排除の黒幕とされている電通ナンバー2の髙田佳夫・代表取締役も名を連ねている)、佐々木氏は池江選手を起用した理由について「強いメッセージを発する適役をやって頂ける方」と語り、「1年後、オリンピック・パラリンピックが開かれる未来のために、努力している世界中のアスリートたちが、どのような想いでいるのかを、アスリートの視点にたって、発信する必要があると感じました」とコメント。関係者も「池江選手が立ち向かう困難、逆境は東京五輪とも重なる」と口にしていたという(毎日新聞ウェブ版2020年3月14日付)。

 コロナ以前から効果的な暑さ対策を打ち出すこともなく「どこがアスリートファーストなのか」と批判を浴びてきた組織委だが、コロナによって開催を危ぶまれると、世論を高めるために池江選手の闘病という「アスリートの思い」を利用した。しかも、その動画を制作していたのは、開閉会式を意のままに動かし電通の利益にすべくMIKIKO氏を排除するという内部闘争を繰り広げていた人物……。その一方、東京五輪を開催しようというのなら、何よりも機運を高めるために全力を傾けるべきだったコロナ対策は、置き去りにされてきたのだ。「アスリートの頑張りを踏みにじるつもりか」と批判する者は、その頑張りをふいにしようとしている組織委と日本政府にこそ、真っ先にその批判をぶつけるべきではないか。

 いや、これはアスリートに対してだけではないだろう。組織委と日本政府は「安全な大会運営を実施する」と言うばかりで、具体的かつ納得感のあるコロナ対策をいまだに市民に対して説明をおこなっていない。そんななかで五輪を強行しようというのは、あきらかに人命軽視だ。そして、人命は東京五輪の開催と天秤にかけるようなものではなく、人命を優先するならば開催に反対せざるを得ないのは当然だ。そうした現状を無視して「五輪反対派と池江選手にもそう言えるのか」という者たちもまた、組織委と同じように池江選手を利用しているのと同じではないか。

 しかし、池江選手の活躍を持ち出して五輪開催の強行を正当化しようとする動きは、間違いなく今後、どんどん大きくなっていくだろう。実際、東京五輪の開催を「人類が打ち勝った証」と最初に言い出した安倍晋三・前首相は、〈池江選手、本当におめでとうございます〉〈白血病から復帰し、オリンピックの代表へ。ここまで重ねてこられた努力は本当に並大抵のものではなかったと思います〉とねぎらい、〈そして、いよいよ夢の舞台。感動と勇気をありがとう。オリンピックでのご活躍を祈念しています〉とツイート。さっそく池江選手の感動的な活躍をもって五輪開催に弾みをつけようとし、さらに恐ろしいことに安倍応援団は〈安倍元総理も体調復活され、また総理に復帰してください〉などと言い出している。

 はっきりと言っておこう。池江選手が与えてくれた感動と、五輪の開催はまったく別の問題だ。やるべきこともやらず、アスリートや市民の安全を軽んじてきた組織委と日本政府に、五輪を開催する資格などない。五輪は中止すべきだ。

最終更新:2021.04.05 10:54

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