言っておくが、大阪の感染数の多さは吉村洋文知事が緊急事態宣言の解除に前のめりになった結果であり、検査数も褒めるほどの数字でもない。
問題は、東京の検査数があまりに少ないことなのだ。その上、最近判明した東京の新規感染者は宣言解除前の感染者であり、宣言解除の影響が数字に反映されるようになればさらに深刻になることはわかりきっているが、このようなお粗末な検査数ではその実態は覆い隠されてしまうだろう。
さらに、東京都は変異株のスクリーニング検査数も圧倒的に少ない。厚労省が公表した「変異株スクリーニング検査の実施状況」(速報値)によれば、3月8日〜14日の件数は、石川県がトップで187件、次に埼玉県が154件、北海道が137件とつづくが、対して東京都はわずか67件。小池都知事は変異株検査について「4月上旬に25%にし、さらに早期に40%を目指す」などと述べているが、すでに兵庫県神戸市は60%以上もおこなっており、目標設定自体が低すぎると言わざるを得ない。
検査数も少ない上、変異株検査も少ない都市が7月には五輪を開催しようなど正気の沙汰ではないが、むしろ、これは東京五輪を開催するための実態隠しなのではないかという穿った見方が出てくるのが自然だろう。感染者数の問題はもちろんのこと、変異株感染が確認された場合は原則入院措置がとられ、退院基準が厳しく入院期間が長くなるとも指摘されている。つまり、これまで以上にすぐさま病床が逼迫する可能性が高いからだ。
市民の安全よりも東京五輪開催が優先されるという、この異常事態──。しかも、そこまでして東京五輪を開催しようという動機は、なにかと強調される「復興五輪」でも「アスリートファースト」でもなく、スポンサー企業のためでしかないことがあらわになっている。
実際、本サイトでも既報で取り上げたように(https://lite-ra.com/2021/03/post-5836.html)、25日からはじまった聖火リレーでは、聖火ランナーよりも先導するコカ・コーラやTOYOTAなどのスポンサー企業の車両が感染対策も万全とは言えない状況でバカ騒ぎを繰り広げていることが明らかになった。