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菅政権のデジタル化は無駄遣い! 12億円のシステム導入も感染者集計は手作業、さらに73億円使って五輪観客アプリの開発を続行

 だが、さらに呆れたのは、「東京五輪の観客向けアプリ」の問題だ。

 このアプリは、東京五輪の観戦を目的に海外から入国する観戦客や選手団などの入国前から出国後までの健康管理を目的としたもの。しかし、あらためて言うまでもなく、新型コロナの世界的な感染拡大によって東京五輪は開催自体が危ぶまれている状態だ。もし開催したとしても、無観客になる可能性は非常に高い。

 しかし、政府はそうした可能性をまったく勘案せず、このアプリの開発などに予算を総額約73億円も計上。現在もアプリを絶賛開発中だというのである。

 このアプリの想定対象者は120万人だというが、無観客になれば、選手や関係者といった数万人向けのアプリということになる。ちなみに、国民にダウンロードが呼びかけられてきたというのに昨年9月末からアンドロイド端末約770万件で通知が届かない状態にあったことが公表された接触確認アプリ「COCOA」にかけられた予算は、現時点で約3億9000万円。これには「クソアプリなのに約4億円もかけていたのか」と驚きの声があがったが、今度は、対象者数が数万人になる可能性が高いというのに約73億円もの巨額を投入しているのである。

 金の問題だけでない。このアプリは、スマートフォンに入れれば、入国後14日間の隔離措置も必要なし、ワクチン接種も必要なしになるというシロモノなのだ。

 尾辻議員はこの仕様に「危険すぎないか」と疑義を呈し、皮肉を込めて「神アプリ」と呼んでいたが、あまりに当然の指摘だろう。

 実際、今月開催されているテニスの全豪オープンでは選手や関係者に約2週間の隔離が義務付けられたが、前哨戦中に隔離のホテルの従業員に感染が確認され、選手や関係者は再び隔離状態に置かれるという事態が起こった。

 これは大会の安全性を確保するためには当然の措置だが、かたやアプリを入れれば隔離期間も必要なしというのは、大会の運営面のみならず国民をも危険に晒すもので、あまりにも慎重さに欠いていると言わざるを得ない。

 というか、いまだに使い物にならないHER-SYSやCOCOAの例を見ても、この東京五輪対応のアプリが想定どおりに機能せず、大混乱を引き起こす可能性は十分に考えられる。

 現に、COCOAのアンドロイド版での障害について厚労省が2月3日に発表した際、iPhone版の不具合については確認されていないと否定していたにもかかわらず、17日になって「初期化されてしまう不具合」「通知が届かない不具合」があることを認めた。さらに、昨日18日にはアンドロイド版の修正版を配布したものの、さっそく新たな不具合が見つかったと厚労省が発表した。これだけでも、2週間の隔離期間も設けず「神アプリ」に頼ろうというのがいかに危険極まりないものかは一目瞭然だ。

 そして、菅首相が掲げる「デジタル化」というのが、いかに実体の伴わない、威勢がいい掛け声だけだということがはっきりしただろう。

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