首相官邸HPより
菅義偉首相が政権の看板に掲げる「デジタル化」。つい先日も、今年9月1日に菅首相をトップにデジタル庁を発足することなどを定めたデジタル改革関連法案を閣議決定したばかりだが、そんななか、開いた口が塞がらないような事実が判明した。
新型コロナの新規感染者の情報について、厚労省は毎日発表しているが、なんと、それをいまだに手作業で集計しているというのだ。
この信じられないアナログぶりが明らかにされたのは、17日の衆院予算委員会でのこと。この日、立憲民主党の尾辻かな子衆院議員は「厚労省では、夜の0時を過ぎた時点で委託した会社の従業員が47都道府県のHPを見て、目視・手集計で新規感染者数を出しているのか」と質問をおこなった。
台湾では第1波の最中にマスクの在庫を一目で確認できるアプリを素早く開発し注目を集め、「それにくらべて日本は……」と嘆く向きもあった。だが、新型コロナの発生から1年以上も経ち、まさか新規感染者の集計を手作業でおこなっているだなんて、そんなバカな話があるわけがない。そんなふうに笑っていたら、なんと答弁に立った厚労省の正林督章健康局長は「はい。そのとおりでございます」と答えたのである。
しかも、これは新規感染者数だけではなく、死亡者数や入退院者数、PCR検査数なども同様だという。
この国の保健行政を司る厚労省が、新規感染者数の集計さえデジタル化できず、外部委託で、いちいち47都道府県のHPを見て、手作業で集計している──。その場面を想像するだに、情けなくて涙が出そうになるだろう。
だいたい、厚労省は昨年5月に新型コロナ感染者などの情報を一元管理するシステム「HER-SYS」を導入しているのだ。この「HER-SYS」に2020年度第二次補正予算では4.7億円、先日決定した第三次補正予算でも23億円も計上し、直近の契約金額は昨年12月18日付で12億円にも及んでいる。これだけの大金を注ぎ込んでおきながらいまだに手作業による集計をおこなっていると言うのだから、呆れ果てるほかない。