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密室談合の川淵三郎後任人事は森会長だけの問題ではない 菅首相も安倍前首相も小池百合子都知事も全員が認めていた

 騒動のはじまりは、森会長の地元紙・北國新聞の朝刊だった。北國新聞は11日の朝刊で森会長が「私の腹は決まっている。12日に皆さんにしっかり話したい」と語ったことを報道。午後すぎには「辞任の意向を与党幹部に伝達」と一斉に速報が流れ、このとき同時に「後任は川淵三郎氏で調整」と伝えられた。

 そして、川淵氏がメディアの取材に、後任会長就任を受諾したことを認め、自分を指名したのが森会長自身であったことを証言。さらに、打診を受けた際、批判を受けた森会長に「気の毒」「本当につらかっただろうなっていうんで涙がなかなか止められなかった」と「もらい泣き」したこと、森氏に「相談役」就任要請を打診したことなどを明かした。

 すると、この後任人事に対して、メディアやネット上で厳しい批判の声があがったのである。

 当然だろう。そもそも組織委の定款では会長は理事会が理事の互選によって決めることになっており、さらに理事ではない川淵氏が会長に就任するためには評議員会で理事に選ぶ必要がある。それを森会長が勝手に後任を指名するというのは正当なプロセスを無視した暴走行為だ。しかも、差別発言をおこなった張本人が直接後任を指名し、後任の会長を受諾したという人物が、性差別発言をおこなった人物に「気の毒」と「もらい泣き」し、その人物を「相談役」に据えると宣言したのである。これは、森会長が実態としては女性差別の責任をまったくとっておらず、新会長になる川淵氏もまた女性差別を容認していると言っているのも同然ではないか。

 さらに、川淵氏をめぐっては、本サイトでも指摘したようにこれまでの極右・歴史修正主義思想も明らかになった。Twitterなどで、慰安婦や徴用工への強制性を否定する発言や、コロナを「中国の生物兵器」だとするデマを流す青山繁晴氏の言説を支持する発言をしていたことが発覚。仏ルモンド紙は「極右に近い立場を取ることで知られている」と紹介し、米ワシントン・ポスト紙は〈右翼と評され、過去に体罰を支持して物議を醸したこともある人物、しかも森より年上の人物を、特権階級が選んだことに、多くの女性たちが失望の声をあげた。〉と報道した。おそらく、そのまま川淵氏が後任に座っていたら、世界中から批判とボイコットが続出していただろう。

 女性差別発言をした挙げ句、こんなとんでもない事態を密室で進行させるとは、森会長の無反省・傲岸不遜には呆れるほかはないが、しかし、この人事はけっして、森会長と川淵氏の2人が勝手に妄想を語っていたわけではない。

 というのも、川淵氏を後任に据えるプランは、森側から菅義偉首相や安倍晋三・前首相、小池百合子都知事にも伝えられ、全員が一度は「GO」サインを出していたのだ。

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