まあ、それでもラグビーW杯の成功を自慢させただけならご愛嬌ですませられるが、信じられないのはそのあと。今度は森のオリンピック・パラリンピックへの“貢献”を礼賛し始めたのだ。
東野が「本当に命削りながら、来年2020年、いよいよ東京オリンピックパラリンピックで、国立競技場も完成して」などと話を振れば、ロンブー淳にいたっては、こんな露骨なヨイショ質問を繰り出していた。
「森さんって、いろいろ矢面になってやられているから、辛いことばかり言われてると思うんですけど、ここを見てよっていうか、みんなあんまり、ここ伝えてくれないんだけど、俺、オリンピックのためにここ頑張ったんだよ、ということを知りたいんですよね」
彼らは森がこの東京五輪をめぐって何をやったか知らないのか。東日本大震災の復興を妨害する五輪誘致を強行した中心人物だったのはもちろん、誘致決定後に起きた開催準備や会場建設のトラブルの多くは、森会長の独裁が大きな原因になっているのだ。
たとえば、2015年に発表された五輪エンブレムのパクリ問題もそうだ。組織委の発表によれば、問題になったエンブレムのデザインは2回修正されていたという。1回目の修正は商標登録上の問題だったが、2回目の修正の理由は「デザインに躍動感がない」というもので、この2回目の修正指示により、ベルギーの劇場のロゴに似てしまった。この2回目の修正指示が、デザインになんの見識もない森喜朗会長によるものだったことが、NHK『クローズアップ現代』の報道により明らかになっている。
新国立競技場のザハ氏設計案をめぐるゴタゴタも同様だ。予算が膨大にかかるザハ案を選定した事実上の責任者が森会長だったのはもちろん、このプランは国民からの強い批判を受け2014年5月の段階で1625億円まで圧縮することになっていた。ところが、森会長が中心となって、ザハ案のまま進めることをゴリ押し。「価格についてはここまで圧縮され、私は妥当だと思う」などとでたらめな論理を駆使して、総工費を2520億円に増額してしまった。その結果、さらに巨額の建設費がかかることが明らかになり、土壇場で設計者を変更するというドタバタ劇が起きたのである。最終的には1569億円で完成したというが、それでも当初予算の1300億円や北京五輪の430億円、ロンドン五輪の650億円を大きく超えている。
ほかの競技会場建設でも、森会長は予算を無視して、新規会場建設や大幅改修をゴリ推し。五輪の開催費用は最終的に、当初予算の約7000億円の4倍以上の3兆円を超えるのは確実といわれている。