10位●指原莉乃
検察庁法改正に声をあげた芸能人を「勉強不足」「偏ったやつだけ見てる」とネトウヨばりのスリカエ攻撃
権力おじさんの論理を内面化したような発言を連発、安倍前首相にも番組で「産めれば産めるだけ産みますよ。国に貢献したい」とこびへつらったうえ、なかよく焼肉を食べたこともある指原莉乃。まあそれでも「御用ジャーナリストというほどじゃないか」と当ランキングには入れてこなかったのだが、2020年は検察庁法改正をめぐる発言でさすがに見逃すわけにはいかなくなった。
周知のように、安倍首相が“官邸の番犬”黒川弘務・東京高検検事長を検事総長にするため法律を捻じ曲げようとしたこの問題では、きゃりーぱみゅぱみゅ、小泉今日子、大久保佳代子など多くの芸能人も反対の声をあげ、抗議の動きが大きなうねりに。結果、改正法案は異例の見送りに追い込まれた。
ところが、指原はこうした勇気ある芸能人たちの声を逆に「勉強不足」と攻撃したのだ。
それは、2020年5月17日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)でのこと。MCの東野幸治から指原もこの問題についての発信を求められたのではないか、と振られると、指原は「私はまだそこまでの、固い信念を持つほど勉強できてなかった」と予防線を張りつつ、こう語った。
「もちろん勉強した上で書いてる人もたくさんいると思うんですけど、もしかしたらたった一人が言っていることを信じて書いている人もいるんじゃないのかなって思っちゃいました」
「本当にそれ(改正反対)を信じていいのか、双方の話を聞かずに、どっちもの意見を勉強せずに、偏ったやつだけ見て、『えっそうなのヤバイ広めなきゃ』という人が多い感じがしています」
これに対して、共演していたEXITの兼近大樹が即座に「勉強しないと参加したらいけないのが政治っていうわけじゃなくて、誰でも批判することって自由だと思う」と反論をしていたが、しかし、指原の発言はよくある「芸能人が勉強不足のまま政治発言するのはやめたほうがいい」という優等生的なスタンスから出たものではない。
検察庁法改正がイデオロギーや意見の相違の話ではなく、司法の独立を侵す暴走であることはその後の撤回を見ても明らかなのだが、指原はわざわざ検察庁法改正を批判した人たちだけを俎上に載せて「双方の話を聞かずに」「偏ったやつだけ見て」いる人が多いと、攻撃したのだ。
これって安倍応援団やネトウヨとまったく同じ。とにかく政権の不正に疑問を呈しただけの人を「偏っている」「公平じゃない」と決めつけ、不正の追及を封じ込めようとしているだけだろう。
しかも、指原が狡猾なのは、自分は勉強不足だからコメントできないなどと言って中立を装いながら、コメントしている人間を軽率であるかのように印象付けていることだ。
テレビでもSNSでも大きな影響力を持ち、世間の空気を読みながら巧妙なやり口で政権批判を封じ込める指原の存在は、もしかしたらベタベタな御用ジャーナリスト、御用コメンテーター以上に危険かもしれない。ということで、10位に初ランクインさせてもらった。