小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

2020安倍前首相の嘘とトンデモ発言総まくり(後編)

安倍の嘘は「前夜祭」だけじゃない 検察庁法改正から河井事件、赤木さん自殺、東京五輪、首相辞任まで…無責任な虚言の数々を忘れるな

「植村記者と朝日新聞の捏造が事実として確定したという事ですね」
11月20日 Facebookでのコメント

 2020年、安倍前首相は国会で嘘をつきつづけただけではなく、お得意の「デマ」もSNS上で流した。それがこのコメントだ。
 元朝日新聞記者の植村隆氏が「従軍慰安婦」問題に関する記事をめぐり、櫻井よしこ氏らを名誉毀損で訴えていた裁判で、最高裁が植村氏の請求を棄却した翌日11月20日のこと。安倍前首相はこの判決に大はしゃぎで、判決を報じた産経新聞のニュースを自身のTwitterとFacebookでシェアし拡散、さらにFacebookでは〈植村記者と朝日新聞の捏造が事実として確定したという事ですね〉とコメントをつけたのだ。
 しかし、本サイトでも報じたように(既報参照)、このコメントは完全なデマ。最高裁は植村氏の請求を棄却したが、植村氏の記事を「捏造」だなどと一言も言っておらず、一審=札幌地裁の判決を支持したにすぎない。そして、札幌地裁もまた、植村氏の記事を「捏造」だと認定しておらず、長い判決文の隅から隅まで読んでも、「原告の記事は捏造であった」「原告は捏造記者である」、あるいは「原告は事実と異なることを知りながら記事を執筆した」などといった記述は一切出てこない。裁判所が植村氏の請求を棄却したのは、櫻井氏の記事について「真実と信じる相当の理由があった」という真実相当性が認めたからにすぎず、櫻井氏の主張の真実性、つまり植村氏の記事が捏造であることが認定されたわけではない。それどころか、一審の判決では櫻井氏側の主張のほうが「真実であると認めることは困難」とされていた。
 にもかかわらず、安倍前首相は「請求棄却」という一点のみをもって、「植村記者の捏造が確定」などというまったくのデマを拡散。植村氏への個人攻撃を扇動したのである。
 しかも、姑息なことに、デマを拡散した安倍前首相に対して植村氏サイドが抗議し、投稿が「事実無根」「名誉毀損」であるとして記事の削除を求める内容証明を送った途端、このFacebookのコメントをこっそり削除。植村氏サイドには謝罪も説明も一切せずに、だ。
 自身の歴史修正主義思想に都合の良いように事実を歪め、SNSでデマを拡散しながら、それがデマだと指摘され都合が悪くなると一転、攻撃相手に何の説明もなく、勝手に削除する。そのやり口は一国の首相経験者とは到底思えないものだ。
 
「2021年7月23日、東京の空高く、いま再びブルー・インパルスが天翔ける時、世界のどんなところに住まう方も、一度は絶望の淵にくれた人々でさえ、天を、そして青空を、はるかに仰ぐことでしょう。その日、東京にラッパが鳴る。ファンファーレは世界に響き、人の心に凍りついた恐怖を解かし、希望に置き換えてくれることでしょう」
11月17日 「オリンピック・オーダー」授与式

 IOCが五輪ムーブメント推進に功績があった人物に贈る「オリンピック・オーダー」の授与式に出席し、バッハ会長から最高章にあたる金章を贈られると、ものの2カ月前に体調不良で辞任したとは思えぬ元気な姿で挨拶に立った安倍前首相が繰り出したのが、この薄ら寒いスピーチ。
 この前段でも安倍前首相は「今、人類は疫病との闘いに歯をくいしばり、唇をかみしめて、互いが互いを思いやりながら、夜に日を継いで耐え、勝利の日を待ち望んでいます」だの、「私たち人類は強い。絶望を希望に変える力を持っています。だからこそ五輪は聖なる火をともして、希望のたいまつとし、それを人の手から手へと渡し続けてきた。そうでは、ありませんか」だのと語ったのだが、コロナ禍に政権を放り出した人間が、国民が危険に晒されている真っ只中で、よくもまあこんな浮世離れ(しかも国威発揚風味の)話ができたものだと呆れるほかない。
 そして、忘れてはならないのは、安倍前首相が自分の都合で「1年以内の延期」をゴリ推したために追加経費がかさみ、大会予算は1兆6440億円と招致時の予算の2.25倍、ロンドン五輪を抜いて五輪史上最高に達した、ということだ。
「五輪開催時の総理」という自身の欲望のために経費を肥大化させ、総理辞任後も「東京五輪組織委の名誉最高顧問」に就任、コロナも忘れて存在感をアピールしつづける。国民生活にとって、害悪以外のなにものでもないだろう。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。