そう考えると、日本テレビ、『ガキ使』、そして松本人志の責任は重大だろう。松本自身は、渡部の出演報道があった直後の『ワイドナショー』で、「あの番組は、誰がゲストでどこで出てきて何をするかというのはわれわれは知りたくないわけですよ。ドッキリを仕掛けられる側ですから」「ところが今回、収録前にネットニュースで知らされるというね」と、出演を知らなかったかのように語っていたが、本当なのか。番組と松本の力関係を考えると、世間を騒がすことが必至のこんなキャスティングを松本に相談せずに勝手に進めるとは考えづらい。
また、仮に松本が「週刊女性」の報道まで渡部の出演を知らなかったとしても、報道後の18日に渡部の出演シーンは予定通り収録されたのだから、松本が渡部の復帰を認めていたことには変わりはない。
ところが、松本は同日のワイドショーで出演させた側の責任については一切コメントせずに、事前に情報が漏れたことについて「ルール違反も甚だしい」などと話をすり替え、八つ当たりしてみせたのだ。
さらに渡部が会見した後の6日に放送された『ワイドナショー』では、「言いたいことは山ほどありますけど、言えることはちょっとしかない」と前置きし、「今年の年末の『笑ってはいけない』は、お子さまからおじいちゃんおばあちゃんまで楽しめる番組に仕上がっていると思うので、ぜひご覧くださいとしか言いようがない」などと発言した。
おそらく、松本は「世間の圧力のせいで渡部を出すというおもろい企画が潰された」ことを皮肉ったつもりなのだろうが、ならば「言えることはちょっとしかない」などと逃げずに堂々と主張すればいいだろう。それをこういうかたちでごまかすというのは、姑息というしかない。
しかし、芸能マスコミもネットメディアもこんな松本の姑息なごまかし発言をありがたがって紹介するだけで、渡部を出演させた『ガキ使』の責任はもちろん。松本がどういう関わり方をしていたのかさえ一切追及しなかった。
渡部のことはあれだけフルボッコする一方で、テレビを牛耳る大物・松本人志にはほんの些細な追及さえできない。芸能報道のこの弱いものいじめとご都合主義はどうにかならないものなのか。いや、政治報道だっておなじようなものだから、マスコミの体質が根本的に変わらない限り、きっとどうにもならないのだろう。
(林グンマ)
最終更新:2020.12.31 08:31