たとえば、2016年には「DHC会長メッセージ」のなかで在日コリアンにかんするデマを書き立てた上で〈似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう〉などとヘイトスピーチを堂々と掲載した(詳しくはhttps://lite-ra.com/2017/01/post-2865.html)。
しかし、このときもテレビや新聞は批判どころか、その話題じたいを取り上げることもなく、DHCの広告やCMを流し続けた。
そして、こうしたマスコミの弱腰の結果、吉田会長やDHCはヘイトを反省するどころか、逆に開き直りの姿勢を強め、ヘイトをエスカレートさせてきた。
その典型がDHCの子会社としてDHCテレビジョンの放送内容が韓国で問題になった一件だろう。DHCテレビでは、安倍応援団が『ニュース女子』や『真相深入り!虎ノ門ニュース』などの番組を制作、政権の露骨な擁護と、韓国や沖縄などに対するヘイトデマを垂れ流してきたが、そうした実態は韓国でほとんど知られていなかった。
しかも、DHCは日本で韓国ヘイトを垂れ流す一方、韓国で何食わぬ顔をしてビジネスを展開していた。2002年にDHCコリアを設立し、韓国の現地法人が化粧品やサプリメントの販売を開始。その売上は年間100億ウォン(約9億円)を超えるまでになっていた(ハンギョレ新聞2019年8月13日付)。
ところが、2019年に韓国の放送局・JTBCが「韓国で稼ぎ、自国では嫌韓放送…DHC“2つの顔”」と題し、DHCテレビジョンで嫌韓放送をおこなっていると批判。百田尚樹氏が『虎ノ門ニュース』で日韓併合を正当化し、慰安婦像を揶揄した発言などを取り上げた。その結果、韓国でDHC商品の不買運動が起きたのだ。ネットでは「#さよならDHC」というハッシュタグが拡散。DHCコリアのモデルを務めていた女優チョン・ユミ氏も再契約しないことを表明し、さらには『虎ノ門ニュース』でBTS(防弾少年団)がバッシングの対象となっていたこともネットで広がり、日韓のARMYのあいだで不買を呼びかけるハッシュタグが拡散されるという事態に発展していった。
DHCコリアはこうした事態にたまらず謝罪文を発表したが、その内容はDHCテレビはDHC本社の子会社であってDHCコリアとは無関係であるというものにすぎず、DHCテレビやDHCグループ全体の謝罪表明はまったくなかった。
それどころか、DHCテレビは「韓国メディアによるDHC関連の報道について」と題した見解を公表。そのなかで〈韓国DHCが提供する商品やサービス、現地スタッフと、DHCテレビの番組内容とは直接何ら関係はありません。そうした常識を超えて、不買運動が展開されることは、「言論封殺」ではないかという恐れを禁じ得ません。〉〈弊社DHCテレビジョンといたしましては、あらゆる圧力に屈することなく、自由な言論の空間をつくり守って参りたく存じます。〉などと、自分たちの歴史修正主義を正当化、逆に不買運動を「言論封殺」などと攻撃したのである。