繰り返すが、渡部のしたことは不倫や恋愛などではなく、女性たちを自身の“性のはけ口”として蹂躙した最悪の行為だ。力関係を利用したハラスメントやいじめに近い。にもかかわらず、彼らはその相手をさせられただけの被害者と言ってもいい女性を叩いているのである。
しかも、今回の問題の本質である性差別やハラスメントへの視点がないという意味では、渡部を叩いていたワイドショーやネットも同様だ。「不倫」や「多目的トイレの使用」については激しく批判していたが、女性をモノ扱いしたことを批判するものはほとんどなかった。
実は渡部自身もそうだ。問題になったあとも妻や相方、スポンサー・仕事関係者には謝罪したが、相手の女性たちについては「週刊文春」のインタビューで「デートクラブのように安全に遊べる子たち」「彼女たちは接待で政治家や力士やプロ野球選手の集まりに行ったりしている」などと語っていた。
そして、このように問題の本質が完全に無視されたままバカ騒ぎだけが繰り広げられた結果、安易な復帰の動きが進行し始めたのだ。『ガキ使』などというお笑い番組で渡部を復帰させようというのは、女性へのハラスメントだったという意識が全くないことの証拠だろう。
そういう意味では、渡部をめぐる今回の騒動は、日本の芸能界、そしてテレビ局の女性蔑視体質を浮き彫りにしたともいえる。私たちは「不倫」などというものにバカ騒ぎする前に、そのことをまず追及すべきではないか。
(編集部)
最終更新:2020.12.15 07:51