しかし、文化功労者は、たんに名誉を与えられるだけでなく、終身、年額350万円の文化功労者年金が支給される(ちなみに、この年金制度は憲法14条「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」に違反しているとの批判もある)。
もし菅首相がタニマチである滝会長を強引に人選させたことが事実なら、これは利益供与にもあたるのではないか。
しかも、菅首相と滝会長には、もうひとつ大きな間接的利益供与問題がある。それはいうまでもなく、冒頭で触れたGoTo問題だ。GoToは菅首相が官房長官時代に主導してきた制度だが、さまざまな毛感が明らかになっている。とくに、「GoToイート」のポイント還元事業は大手グルメサイトを通さなければいけない制度になっており、「飲食店支援ではなくグルメサイト支援になっているのでは」と批判が巻き起こっている。実際、消費者の使い方によっては飲食店が逆に損害を被り、グルメサイトだけが儲かっていくという事態も起きている。
そして、この制度によって最も恩恵を受けているのが「ぐるなび」なのだ。実際、「ぐるなび」は前述したように、2021年3月期の連結最終損益が95億円の赤字になる見通しだったが、一方で「GoToイート」により10月のネット予約件数は前年同月と比べて2.7倍に増えた(10月23日までの実績)。
そのため、このグルメサイトだけが儲かる「GoToイート」の制度設計に、菅首相と滝会長の関係が影響しているのではないかという疑惑が広がっているのだ。
ところが、マスコミはこうした疑惑をまったく追及しようとしない。文化功労者についても、10月27日に発表になっているのに、大手メディアが滝会長の人選について疑問を呈した形跡は一切ない。
いまからでも遅くない。菅首相のこれ以上の私物化を許さないためにも、滝会長との関係、疑惑を徹底的に追及すべきではないか。
(編集部)
最終更新:2020.11.03 03:11