これだけでも、いかにもほんこんらしいみっともなさが満載の顛末なのだが、実はこの「ほんこんおもんない」イラスト騒動が起きた背景には、ほんこんのもっと卑劣な恫喝とそれによって巻き起こったヘイト攻撃があった。
時系列で振り返ろう。そもそもの発端は、22日までさかのぼる。この日、ほんこんはレギュラーコメンテータを務める関西ローカル中心の情報番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(ABC)に出演し、安倍首相の体調問題について、こんなことをまくし立てていた。
「総理の体調のこと、テレビで取り上げんほうがええと思うのよ。これ、国家機密やで。総理の体調、どうのこうの言うてるの、日本くらいやで。ほんまに」
「だから、それをやったら、ほんなら国会出てきて説明せえ言うてる野党の方いてるやん。それおまえ、国のトップが、体調悪いんです言うたら、これ攻め時やないかってならへんか。せやろ。そんなもん、バカ!」
バカは一体どっちなのか。いまさら、いちいち突っ込むような話ですらないが、一応突っ込んでおこう。
たしかに権力者側は、自身の健康不安を隠したがるものではある。しかし、一国の総理大臣の健康状態はプライベートの問題ではない。総理大臣の健康状態に大きな問題があれば、当然意思決定に影響を及ぼすものであり、それは国全体の行方を左右するパブリックな問題だ。
ほんこんは「日本くらいやで」などと適当なことを言っているが、実際、どこの国でも、国のトップの健康状態は常に報道機関のチェックに晒されている。ドイツのメルケル首相が式典でふらついたことから健康不安説が取りざたされたことがあるし、つい先日もイギリスのジョンソン首相がコロナの後遺症のため辞任するのでは、という憶測が報じられた。アメリカ大統領選挙をめぐっても、「トランプの足元がおぼつかない」「ヒラリーが途中退席した」「バイデン認知症疑惑」など、候補者たちの健康状態が有権者の判断材料として盛んに報じられてきた。
しかも、今回健康不安説を煽っているのは、そもそも官邸サイドのほうなのだ。何が攻めてくると思っているのか知らないが、「攻め時やないか!バカ!」は安倍官邸に言えという話だ。
このツッコミどころ満載のほんこんの発言がネット上で拡散されると、当然ながら批判の声が巻き起こった。
ところが、ほんこんは他のもっと厳しい調子の批判ではなく、なぜか〈ほんこんよ、もう喋るな〉とつぶやいていた一般ユーザーのツイートを取り上げ、わざわざプロフィールにまで触れながら、こう恫喝したのである。
〈介護福祉士の方がこんな事を言わない方が
言論弾圧ですかね?とりあえず福祉局に問合せ〉
〈ほんこんよ、もう喋るな〉という程度の批判は論戦のなかではいくらでも飛び交うレベルの表現だろう。それを「言論弾圧だ」とわめき立て、プロフィールに「介護福祉士」とあったことから、「福祉局に問い合わせ」などと、行政への密告をちらつかせるとは、これまた卑劣きわまりない。それこそ言論弾圧はどっちだ、という話ではないか。
しかも、問題はもうひとつある。それは、ほんこんがこのユーザーのツイートをわざわざ選び出したことだ。