しかし、もし一部のメディア関係者だけに今回の発表が知らされていたとすれば、テリーも言っていたように「インサイダー取引」につながりかねない。到底許されることではないだろう。
しかも、『ミヤネ屋』は本番が始まると、会見前から「“コロナ”治療 効果が期待できる薬 発表」というテロップを出して煽り、吉村知事による「嘘みたいな本当の話」「コロナの患者さん、このコロナがある意味、減っていくと。コロナの陽性者が減っていく」「コロナに効くのではないかという研究が出ました」という会見を生中継。その効果を煽りに煽っていた。
テレビ局がこんな不確かな情報を批判的視点をさしはさまず一方的に垂れ流すだけでもありえないが、『ミヤネ屋』の番組関係者が事前に情報を伝えられ、こっそりポビドンヨード関連株を買える立場にあったとしたら、なおさら問題だろう。
もっとも、当の『ミヤネ屋』は鼻白むような茶番でこの疑惑を否定している。吉村知事は4日の会見後、批判が殺到したことを受けて、6日に『ひるおび!』(TBS)などのワイドショーにはしご出演したが、『ミヤネ屋』では、司会の宮根誠司と吉村がこんなやりとりを繰り広げていた。
宮根「何回も知事にお会いしてるのに、一言も僕にも言いはれへんかったから、よっぽどナイショやったんですね、知事ねぇ?」
吉村「ええ、これは秘密に進めてきました」
宮根「冷たっ」
また、そのあとも宮根が、わざわざ「この番組ね、生中継しちゃったのよ。内容もわからないまま」などと念を押していた。
聞いているだけで寒くなる。こんな言い訳が通用すると思っているのか。そもそも『ミヤネ屋』がもし、吉村知事や大阪府の許可なくあんな事前報道や煽り報道をしていたとしたら、役所から完全にフライング認定され、出入り禁止になっているはずだ(それは逮捕を前打ちしたメディアに対する検察庁や警視庁の姿勢を見れば明らかだ)。
しかし、『ミヤネ屋』はそういう処分を一切受けなかったどころか、この日も、吉村知事が嬉々として番組に出演していた。この事実を見れば、今回の事前報道が吉村知事サイドの許可のうえだったことは明らかだ。『ミヤネ屋』は最初から吉村知事のうがい薬会見を煽る役目を担う共犯者であり、その関係で事前に吉村サイドから情報を与えられていたのではないか。