だが、信じられないことに、「Go To」の推進役である菅官房長官は昨日28日の会見で、一部自治体でホテル確保が十分ではないことについて「承知している」と言うと、こう述べたのだ。
「政府の基本的対処方針では、とくに家庭内での感染防止や症状急変時の対応のために軽症者等は宿泊療養を基本とし、都道府県は宿泊療養施設の確保に努めることとしている。施設の確保に必要な費用は国が全額交付金で支援しており、宿泊施設の確保が十分でない自治体に対しては早急な確保を求めていきたい。政府も全面的に協力していく」
この期に及んで「ホテル確保は自治体の責任だ、金も出している」と主張すること自体、無責任極まりない。4月には安倍首相がAPAホテルに直談判して確保したという“美談”を田崎史郎氏が喧伝していたが、あの話はいったいどこにいってしまったのか。しかも、今回は「Go To」がホテル確保の足を引っ張っている可能性があるのだ。にもかかわらず、菅官房長官はその事実は無視して「政府も全面的に協力していく」と他人事のように言い放ったのである。
その上、菅官房長官はホテル確保が不足している状況にあることを「承知」しておきながら、「ワーケーション」の普及まで打ち出している。安倍政権が感染防止策を何ひとつ打ち出さないなか、医療従事者や対面で働かざるを得ないエッセンシャルワーカーの不安はどんどん増しているというのに、“休暇を楽しみながらテレワークで働こう”などという一部の優雅な働き方が可能な人びとに対する観光促進策だけは積極的に出してくる──。これはコロナ対策と呼べるはずもなく、むしろとことん崖っぷちまで追い込もうとしているかのような振る舞いではないか。
布マスク8000万枚配布問題が象徴的なように、無能かつ無策な安倍政権によって、国民はどんどん危険に晒されていっているのである。
(編集部)
最終更新:2020.07.29 03:14