感染が再び拡大しつつあるなか、リスクの高い介護施設で、いまだに布マスクを洗って繰り返し使えと迫るとは一体どういうことなのか。
実は、今回、政府はまたぞろあの論理を持ち出して正当化している。厚労省は朝日の取材に8000万枚配布の理由として「必ずしもまだ十分マスクが行き渡っていると言い切れない状況の中で、布マスクを配ることで需要を抑制する効果は十分認められる」などと説明し、菅義偉官房長官も今朝の会見でこう語った。
「布マスクは繰り返し利用できることから相対的に安価で、マスク需要の抑制に資する」
これは「アベノマスク」の批判に対して、安倍首相が「いままでたまっていた在庫もずいぶん出て、価格も下がった」などと繰り返しアピールしたのと、まったく同じ主張だ。
しかし、この主張を検証した毎日新聞5月15日付記事では、流通アナリストの渡辺広明氏が「布マスクの配布は、市中のマスクの流通や価格には関係ありません」は断言し、マスク卸業者も「布マスク配布と値下がりは関係ない」と述べている。というか、そもそも現在、市中でマスクはすぐに手に入るようになっており、布マスクである必要はみじんもない。
にもかかわらず、政府や厚労省がまだこの「布マスク配布」にこだわり、巨額の税金を使って8000万枚を配布しようという愚策を強行する理由はただひとつ。布マスク配布が安倍首相が固執したものであり、それを途中で中止するというのは、安倍首相のメンツに傷がつく──官邸も厚労省もそのことを忖度して誰も止められないのである。
安倍政権は無能であるだけではなく、「Go To」と同様、国民の健康と安全などハナから無視しているからこそ、このような愚策を平気でつづけられるのだ。そのことに、国民はもっと怒らなくてはいけない。批判コメントにもあったように、「コロナより政府に殺される」かもしれないのだから。
(編集部)
最終更新:2020.07.28 03:42