6月はじめに吉住区長が、自身もホストクラブを経営し歌舞伎町商店街振興組合常任理事を務める手塚マキ氏にコロナ感染拡大防止にどうしたら協力してもらえるか相談。すると「ホストの間で感染者が出たら店名まで公表されるとみんな思っている行政に不信感がある」「『プライバシーを守る』と区長の口からみんなに言ってほしい」とアドバイスされたという。それで、6月3日・4日にホストクラブ関係者30人ほどが区役所を訪れ、区長と面会。ホスト関係者と保健所とのホットラインが設置されることになった。これにより、相談数も検査も増えたのだ。
政府の新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」に登録しても、いまだに「帰国者・接触者相談センター」しか窓口がない状態なことを考えると、このホットラインがホストの人たちを検査につなぐ上で大きな役割を果たしていることは想像に難くない。
さらにその後も、新宿区ではホストクラブやキャバクラなど飲食業関係者を集め連絡会や分科会を開き、お店の感染防止対策や従業員の検査体制の確認、お店側と新宿区での情報共有などをしているという。
区長は「名乗り出ることが怖いことだと思わないようになってもらうことが第一歩だと考えています」と語っていたが、その通りだろう。
また感染者の出た事業者名を公表する方法についても、このように否定的な見解を示した。
「感染者の確認が出来ている事業所は感染拡大防止の協力者です。すでに感染拡大防止策を講じている協力事業所名を公開し、晒してしまうことは感染した可能性を隠す事業所を潜在化してしまう結果になります」
「強制的に閉めるとか圧力をかけると、いまおっしゃられた通りで、よそのエリアに行って営業を始めてしまうだけなんですね。これは、浄化作戦をやったときに反社会的勢力を新宿から締め出そうということでやった際も、客引き対策をやった際も、よその繁華街に流れていってしまっただけで、結局、気がつくとまた戻ってくるというそのイタチごっこを繰り返してきています」