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安倍政権が軍艦島世界遺産で約束した徴用工の説明センターに「朝鮮人差別ない」の一方的証言! センター長は安倍首相の幼馴染のあの女性

「週刊新潮」(新潮社)2015年5月21日増大号に掲載された彼女のインタビューによると、自民党が野党に転落していたころ、安倍晋三氏は「明治産業遺産」の世界遺産登録への熱意を語った康子氏にこう語ったという。

「君がやろうとしていることは『坂の上の雲』だな。これは、俺がやらせてあげる」
 
 安倍首相は総裁の地位に返り咲いた3日後、彼女に電話をかけ、「産業遺産やるから」と、決意を語ったという。実際、第二次安倍政権誕生後のやり方は強引としか言いようのないものだった。文科省の文化審議会は2013年8月に「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を正式に推薦候補として決定していたにもかかわらず、内閣官房の有識者会議は対抗するように「明治産業遺産」を正式推薦に選定した。

 この動きに対しては、当然ながら、韓国から「遺産群のなかには強制徴用が行われた施設がある」という反対の声が上がったが、安倍首相はそれでも「明治産業遺産」をゴリ押し。結局、最終的には菅義偉官房長官が決定権を握り、「明治産業遺産」を政府推薦とし、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を先送りにした。

 しかも、安倍政権は、国際社会を納得させるため、世界遺産登録申請の際には〈その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと〉を認めていたが、いったん世界遺産登録が認められると、どんどん手のひらを返していく。

 2017年に日本側がユネスコへ提出した「保全状況報告書」では、朝鮮人徴用工について文面を「戦前、戦中、戦後にかけて日本の産業を支えた多くの朝鮮半島出身者がいた」という記述にかえて、強制連行や過酷労働の実態を矮小化。さらに、2019年に提出した最新の「保全状況報告書」では、朝鮮人徴用工について一切削除してしまった。

 さらに、同じく設置を約束していた「産業遺産情報センター」についてもなかなかつくろうとせず、5年後にようやく設置したと思ったら、場所は、遺産である軍艦島や八幡製鉄所から900km以上離れた東京・新宿。そして、旗振り役の“お友だち”加藤康子氏をセンター長にすえて、「朝鮮人徴用工への差別はなかった」などというインタビューを紹介したのだ。

 卑劣きわまりないが、しかし、こうした歴史否認の動きは、ユネスコの「保全状況報告書」や「産業遺産情報センター」だけではない。たとえば、約6000から7000人の朝鮮人労働者が工事に従事したとされる長野県の「松代大本営」の地下壕をめぐっては、市が入り口の看板に「強制的に」と記していた部分にテープを貼って削除。群馬県の県立公園「群馬の森」では、朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑の設置更新を県が拒否。奈良県天理市でも、飛行場の建設にあたって朝鮮人の強制連行があったと記した説明板を市が撤去するなどの事例が相次いでいる。

 安倍首相を筆頭とする歴史修正主義者たちは、負の歴史事実をなかったことにしようとする。その最終地点は、人間の生きた証そのものを記録や記憶から消してしまうことだ。これ以上安倍政権の歴史修正主義を放置しておけば、この国はまさに“ディストピア”と化してしまうだろう。

最終更新:2020.06.17 10:29

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