また、大澤常務は、自社タレントが有利になるよう自らスキャンダル報道を仕掛けることもあったという。その典型が矢口真里の不倫報道だ。
矢口の不倫が発覚したのは2013年6月、「週刊女性」(主婦と生活社)が掲載した「激震スクープ!矢口真里 夫が目にした衝撃 『2月23日 不倫現場』自宅寝室に知らない男が!」という記事が発端。当時の夫・中村昌也が帰宅すると、矢口と梅田賢三の2人の不倫現場に遭遇してしまったという内容で、これがきっかけで矢口は猛烈なバッシングを受け、芸能活動自粛に追い込まれるのだが、これを仕掛けたのが大澤常務だった。
「当時の夫である中村はワタナベエンターテイメントの所属。中村から相談を受けた大澤常務が、中村のマイナスイメージになるような情報が出る前に先手を打ち、同情を集めて中村を再売り出ししようと、『週女』に情報をリークしたというのが定説になっている。しかも、大澤常務は当時、直々に『週女』の会議に参加していたという噂まで流れた。実際、掲載された情報は当事者の中村でないとわからないものばかりでしたからね」(前出・週刊誌記者)
ようするに、こういう癒着の構図があったため、今回、ワイドショーだけでなく、スポーツ紙、(文春以外の)週刊誌系のニュースサイトまでが、口をつぐんでしまったのだ。
「というか、大澤常務のタレント私物化、えこひいきは前々から噂になっていました。柏木由紀や志尊淳なども特別可愛がられていましたしね。でも、みんな見て見ぬ振りをしていたんです」(芸能ジャーナリスト)
そういう意味では、テレビやスポーツ紙、週刊誌もこうした芸能界的なセクハラの共犯者といっていいだろう。
しかも、この癒着の構図の結果、大澤常務はこんなひどいセクハラが発覚しても、しばらくしたら復活するのではないかという見方もある。
「ナベプロは独自の調査委員会を立ち上げて厳正な処分をすると言っていますが、ミキ社長はこれまで汚れ仕事を率先して大澤常務にやらせてきた。このまま切り捨てたらら、これまでの暗部を暴かれかねないですから、完全にクビにするということはないでしょう。メディアもいまの調子だと問題にすることはない。そのうち、こっそり幹部に戻るという可能性も十分ある」(前出・芸能ジャーナリスト)
腐り切った日本の芸能界には、「MeToo」から始まったセクハラ追及の世論も届かないということなのか。
(時田章広)
最終更新:2020.06.14 08:14