また、手越は“コロナ自粛期間中の外出”といったレベルではない、もっと悪質な事件も引き起こしている。
たとえば、2017年5月には、当時逮捕された金塊強奪事件の容疑者のfacebookに手越との親密写真が掲載されていたことが発覚していた(朝日新聞の取材に対し手越本人も認めている)。しかし、容疑者と手越の写真について報じたのは本サイトなどネットメディアと朝日新聞くらいのものだった。この金塊事件じたいは当時、ワイドショーでも大々的に取り上げられていたのに、手越と容疑者の交遊問題は完全に蓋をされてしまったのだ。
極め付けが、2018年の未成年飲酒報道だろう。手越は、2018年6月に「週刊文春」(文藝春秋)に未成年女性との飲酒疑惑を報じられた。その前週には同じくジャニーズNEWSの小山慶一郎と加藤シゲアキも未成年女性への飲酒強要が発覚、小山は『news every.』(日本テレビ)キャスターをはじめ芸能活動を自粛、加藤は厳重注意の処分を受けている。そしてふたりの番組内での生謝罪などはワイドショーでも大々的に報じられた。
ところが、同時期に発覚した手越の未成年飲酒疑惑に関しては、ワイドショーはいっさい報じることはなく、それどころか日本テレビは手越にサッカーW杯のキャスターを予定通り務めさせたのだ。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)も、たかだか不倫でベッキーを降板させておきながら、手越に関しては不問だった。
ところが、金塊事件の容疑者との交友や未成年飲酒でさえも無視していたテレビやスポーツ紙が、今回、緊急事態宣言下で仲間と飲み会を開いていたというだけで大々的に取り上げ、一斉に苦言を呈したのだ。前出のスポーツ紙担当記者が苦笑しながらこう話す。
「普通ならここまで大きく取り上げないよ。今回、ジャニーズ事務所から処分内容の発表と同時に、われわれに『手越の件は飲み会のこともある程度報道してくれてかまわない』というお達しがあったんだ。テレビ局にも同様の通達があったはず。それでこういう報道になった。これも、ジャニーズの体制の変化ゆえだろう。手越についてはメリーさんが守っていたため、ほかのタレント以上にメディアに対する締め付けが厳しかった。しかし、メリーさんの影響力が低下し、手越はこのまま退所するとの見方もある。メディアにある程度の批判をさせれば、ほかのタレントへの警鐘となると判断したんじゃないか」
結局、ジャニーズタレントの不祥事やスキャンダルを報じるか報じないかは、メディア独自の判断ではなく、ジャニーズ事務所の意向次第ということだ。ワイドショーはこれでよくもまあ、正義ヅラして、芸能人の不倫や自粛期間中の外出を叩くことができるものである。
(時田章広)
最終更新:2020.05.31 11:59