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安倍首相の「朝日も3300円で布マスク販売」反論はフェイク! 朝日販売マスクは泉大津市の公的事業で高性能、アベノマスクと雲泥の差

首相官邸HPより


 やっぱりこいつは何の反省もしていなかったらしい。安倍首相が一人当たり10万円給付を発表した昨日の会見。当初は国民に「混乱させた」と謝罪するなど、殊勝な態度を見せていたが、すぐに化けの皮が剥がれた。

 会見が質疑応答に移った後、朝日新聞の記者が「布マスクや星野源さんの動画で批判を浴びているが、一連の新型コロナ対応を自身でどのように評価しておられますか」と質問したところ、安倍首相はこれらの政策をすべて正当化した挙句、こう付け加えたのだ。

「御社のネットでも布マスク、3300円で販売しておられたということを承知しておりますが、つまりそのようなこの需要も十分にあるなかにおいて、我々もこの2枚の配付をさせていただいた」

 実は、朝日新聞社が運営する通販サイト「朝日新聞SHOP」で布マスクを販売していたという話は、4月5日にネトウヨニュースサイトの「アノニマスポスト」が記事にし、ネトウヨが一斉に攻撃を仕掛け、「朝日新聞SHOP」が休止に追い込まれていた。その後『週刊新潮』4月9日発売号も後追いし、さらに騒ぎは大きくなっていた。

 つまり、安倍首相はネトウヨ発の情報を使って朝日を攻撃し、自分が強行した布マスク「アベノマスク」を正当化したわけだ。しかも、この安倍首相の発言で、安倍応援団やネトウヨは「さすが安倍首相、見事な切り返し」「痛快」「強烈なブーメラン」などとさらに吹き上がり、「朝日が布マスクを批判しながら布マスクを売っていた」「朝日がコロナにつけこんで、高額マスクを売りつけている」と朝日攻撃をエスカレート。朝日新聞が販売する布マスクを製造している大阪・泉大津市内の繊維会社までが炎上にさらされている。

 しかし、はっきり言うが、安倍首相が便乗した今回の朝日攻撃は完全にフェイクだ。「朝日新聞SHOP」で布マスクが2枚入り3300円で販売されていたことはたしかだが、事実関係を調べると、「朝日がコロナにつけこんで、高額マスクを売りつけている」という話ではまったくない。 

 そもそも、朝日が販売した布マスクは、大阪府泉大津市の「日本一の毛布のまちのマスクプロジェクト」から生まれた商品なのだが、この「マスクプロジェクト」は、泉大津市の南出賢一市長が“毛布の生産技術を生かしマスク不足解消の一助にしたい”と企画し、商工会議所が市内の業者に参加を呼びかけて始まったもの。つまり、マスク不足解消と地域おこしという目的で市が音頭をとった、かなり公的な意味合いの強いプロジェクトなのだ。実際、朝日新聞だけでなく、読売新聞はじめ複数のメディアがこの動きを好意的に報道していた。

 そして、朝日新聞はこの公的プロジェクトの一部の商品を、自社の通販サイトで取り扱い、販売予約を受け付け始めた。つまり、朝日はこのプロジェクトに賛同し、販売ルートを提供したにすぎないのだ。

 実際、3300円という値段も、泉大津商工会議所が告知し、大阪市や泉大津市内で販売されているのとまったく同じだった。3300円というと高い感じがするが、後述する性能、そして、有名メーカーが販売しているオーガニックコットンのマスクなどの値段がだいたい1枚1500円以上することを考えると、2枚で3300円というのは決して高いわけではない。

 ところが、これを、ネトウヨがあたかも「コロナにつけこんで、高額マスクを売りつけている」ように歪め、さらには一国の首相が便乗したのだ。

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