27日の定例記者会見で菅義偉官房長官はマスクについて、現在の月6億枚から4月には1億枚程度を上積みできる見通しであることを公表したが、医療機関や介護施設などに優先的に提供していることを踏まえ、店頭での品薄解消には「一定程度の時間を要する」とした。
だが、思い出してほしい。菅官房長官は2月12日の定例記者会見では、「1月28日に増産を強く要請し、24時間生産などの態勢強化で現在1億枚以上を供給できる見通しができた」と発言。「来週以降」にはマスクの品薄が解消されると述べていたのだ。
さらに経済産業省も同日、公式Twitterアカウントで、こう発信していた。
〈マスクを慌てて買い置きしなくても大丈夫です。厚労省や企業の皆様と連携し、毎週1億枚以上、お届けできるようになりました。〉
〈マスクは買い占めなくても大丈夫〉
〈毎週1億枚以上のマスクを消費者のみなさまにお届けします〉
ご存じのとおり、その後、店頭のマスク不足はまったく解消されず、手に入りづらい状況がつづいている。なのに安倍政権は「来週には品薄を解消できる」「毎週1億枚以上のマスクを消費者のみなさまにお届け」などとデタラメな情報を喧伝していたのである。
しかも、デタラメな情報を垂れ流しておきながら、安倍政権はマスク不足を訴える報道に圧力までかけた。医療機関のマスク不足を指摘した『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に対し、厚労省の公式Twitterアカウントは3月5日、〈厚生労働省では、感染症指定医療機関への医療用マスクの優先供給を行ったほか、都道府県の備蓄用マスクの活用や日本医師会や日本歯科医師会のルートを活用した優先配布の仕組みをお知らせしています〉と反論。しかし、『モーニングショー』は翌6日の放送で、医療用マスクが届いていない、今後支給するという通知もない指定医療機関があることを取材によってあきらかにしたのだ。これに厚労省担当者も「『マスクの優先供給を行った』については言いすぎた表現。『行っている』『開始した』が正しい」と訂正せざるを得なくなった。
国民には「マスクを消費者のみなさまにお届け」などとアピールし、医療機関への優先配布を訴える報道にはウソの情報で反論する……。これだけでも安倍政権の対応がいかにいい加減で、しかもいい加減なくせにそれをツッコまれると報道を封じ込めようとするという強権性がよくわかるが、こんな醜態ばかりを晒しておきながら、いまもマスク問題で安倍政権は信じられないような対応を取りつづけている。