この見方が正しければ、新型コロナの政治利用というしかないが、しかし、このトンデモ政策には、もうひとつもっと間抜けな理由もささやかれている。それは、松井市長の誤読による暴走を正当化するためだったという説だ。
実は、この大阪府・兵庫県間の往来自粛は、吉村知事より早く、大阪市の松井市長が公表していた。大阪府の政策をなぜ、大阪市長が先に公表するのか意味不明だが、松井市長は19日午後16時ごろ、退庁時のぶら下がり会見で、前述したように記者団に対して、「国から爆発的に患者が増えることを抑えるため、できるだけ大阪と兵庫の往来を自粛するように呼びかけてほしいと通知があった」などと語った。
この発言は明らかな間違いだったが、松井市長の忠実な子分である吉村知事は、松井の暴走をフォローするため、実際に松井の言うとおり大阪府・兵庫県間の往来自粛で押し切ってしまったのではないかというのだ。
実際、吉村知事はその日の午後、読売テレビの『情報ライブ ミヤネ屋』に出演したが、そこでは大阪府・兵庫県間の往来自粛については、何も語っていなかった。
ところが、そのあと、同じ読売テレビのローカル番組『かんさい情報ネットten.』に出演した際、松井市長の発言が取り上げられ、コメントを求められると、吉村知事はここではじめて大阪府・兵庫県間の往来自粛の方針を示唆。それと前後して、府政クラブに大阪府から「府庁で吉村知事が緊急記者会見をする」と通知が入る。そして、18時30分から吉村知事が会見を開き、正式に大阪府・兵庫県間の往来自粛の呼びかけを行った。
たしかに、この経緯を見ると、松井の発言で慌てて吉村が大阪府・兵庫県間の往来自粛呼びかけの方針を決め、緊急会見を開いたというドタバタぶりが伝わってくる。
「もちろん、この発表の流れ自体は、話題を煽るため、松井市長と吉村知事の間で役割を割り振り、シナリオどおりに進めた可能性もあります。ただ、そうだとしても、松井市長が内容について“誤読”して、そのまま虚偽の内容を先に発表してしまったのは事実で、もし吉村市長が提案文書の内容をきちんと理解していたのであれば、松井市長の発言を修正したはず。それをしなかったということからも、誤読をフォローするために、吉村知事が発表内容を歪めたという可能性は十分あります」(前出・大手紙府政担当記者)
兵庫県をスケープゴートにした政治的パフォーマンスなのか、松井市長の誤読による暴走を正当化するためか、あるいはその両方か。今回の決定は吉村知事と松井市長の間の密室で決定されているため、これ以上の真相を暴くことは難しい。
しかも、意図的な歪曲への批判が出てきたからか、毎日新聞によると、吉村市長が改めて経緯説明のために23日に開いた会見では、本サイトへの反論を翻して、提案文書について「普通の日本人が読めば大阪、兵庫間の往来と読める」と語ったらしい。「普通の日本人が」ってネトウヨワードを平気で使う感覚もどうかしていると思うが、小学生が読んでもわかる差に気がつかないなんて、やっぱり誤読ということじゃないか。
いずれにしても、今回の大阪・兵庫間の往来自粛呼びかけが、まともな目的から出てきていないことはたしかだろう。吉村・松井両氏は、専門家にも、役所内の担当者にも、他の自治体にも相談せずに、独断で、専門家の見解を捻じ曲げ、こんな何の根拠もない方針を強行したのだ。
しかも、連中はネットでそのことを指摘されると、新型コロナ対策そっちのけで、ウソとゴマカシだらけの反論をがなりたてている。
ほんとうにこんな連中に、行政を任せていていいのか。大阪府民はそろそろ維新の正体に気がつくべきではないか。
(編集部)
最終更新:2020.03.25 12:35