吉村は本サイトへの反論で、〈緊急事態宣言もない中で、連休3日間に絞り込み、大阪・兵庫間に絞り込みをかけた〉などと強弁しているが、これはあきらかなゴマカシだ。大阪・兵庫間の往来に絞り込みをかけたところで、緊急事態宣言がなければ自粛の強制ができないことに変わりはない。実際、吉村知事が今回やったことも自粛の「呼びかけ」にすぎなかった。
それならば、わざわざ絞り込む必要はなく、提案文書に書かれているとおり、もっと広く「大阪府内外の不要不急な往来の自粛」を呼びかけておけばいいだけの話ではないか。
実際、兵庫県の井戸敏三知事は、提案文書のとおり、兵庫県とその他の地域の往来、県内での外出の自粛を呼びかけている。
今回、リテラの記事に対して、維新支持者が「誤読だとしても何もしない兵庫県の井戸よりまし」などと吉村知事を擁護していたが、事実は逆で、井戸知事の呼びかけのほうがはるかに範囲が広く、厳しいものだったのだ。
感染拡大防止という観点から見ても、どちらが真っ当かは明らかだろう。大阪・兵庫間の往来だけに矮小化した吉村知事、松井市長の呼びかけは、府民に「兵庫県以外なら出かけても大丈夫」という誤ったメッセージを与え、逆に感染を拡大させたおそれさえある。
しかも、吉村知事や松井市長は、他県を巻き込むこんな方針を打ち出しながら、他の自治体との連携をまったくしていない。兵庫県とも関西広域連合とも事前協議をしていなかったことがわかっている。
いや、他府県だけではない。この決定は、大阪府の専門家や担当部署にも知らされていなかった。吉村の会見にしばしば同席している大阪府の藤井睦子・健康医療部長も、吉村の会見直前、記者が確認したところ、この決定を知らなかったという。
「周辺を取材しても、動きを知らされていた人間がほとんどいない。今回の大阪・兵庫間の往来自粛呼びかけは、直前に、松井市長と吉村知事の二人だけで突然決めた、そうとしか思えない」(大手紙大阪府政担当記者)