だが、絶句したのはこのあと。国民民主党の玉木雄一郎代表が「国の統一的な意志が見えないんですよ。強い意志が。だから不安なんですよ」「国務を総理ができていますか」と問いただすと、ムキになった様子でこんな主張を繰り広げたのだ。
「毎日毎日、対策会議を開いております。土日も含めて開いてます。昨日も1時間あまり各省から情報提供があり、私の判断を仰ぎ、そこで決定をしているわけであります。基本方針についてもですね、何回も私のところで会議をし、そこで指示をしております」
「(こうした内容は)いちいち外に対して発表もしません。そういうパフォーマンスには意味がないと思っております」
おいおい、「パフォーマンスには意味がない」と言える資格があるのは、パフォーマンスに終わらない責任感ある対策をとっている人物だけだ。それを国民や企業、自治体に責任を丸投げする対策しか打ち出せない人間が、よくも言えたものだ。
だいたい、「パフォーマンスには意味がない」って、安倍首相こそ、パフォーマンスばかりやってきたんじゃなかったのか。新元号の発表のときにはわざわざメディアに出演して「私が決めた」アピールをしたり、芸能人やアイドルとの会食をSNSで発信したり、G20サミットではハリウッド映画みたいなプロモーション映像を公開したり……。同じ危機対応でも北朝鮮ミサイル発射では総理談話を連発し、Jアラートを鳴らして脅威を煽っていた。
ところが一転、今回の新型コロナ対応では、肝心の局面になっても国民の前に立とうとはしない。そのくせ「パフォーマンスには意味がない」などといかにも立派なリーダー然としたことを言い出すのだから恥知らずもいいところだ。
実際、安倍首相の無為無策っぷりは、感染が拡大する韓国との比較によって浮き彫りになっている。
象徴的なのは、国内で検査を受けられる目安の基準を満たしながらも受けられないという悲痛な声があがっているPCR検査の実施数だ。すでに韓国ではPCR検査がのべ4万件以上実施されているというが、一方、日本の実施数は26日12時現在で1061名。加藤厚労相は「18日以降は1日最大3830件が可能」と述べていたのに、18〜24日の1週間のあいだに実施されたPCR検査は、クルーズ船やチャーター便帰国者の分を合わせても、わずか約6300件だった。