しかし、同じ医者でも、素人と変わらぬ妄言を平気で吐き続けている人間もいる。高須クリニックの高須克弥院長だ。高須院長は百田氏の〈3週間前、「渡航制限かけてもピークが2、3週間遅れるだけで、結果は同じ」とテレビやネットで言っていた医者や論客がたくさんいたが、今、同じ口で、「医療崩壊を防ごう」とか言っている。呆れるのは、「すぐに病院に行くな。多数が行けば医療崩壊につながる」というやつ。家で死ねってか。〉なるツイートに反応し、こんな投稿をした。
〈そういうことです。
病院でできるのは対症療法だけです。医師の防御態勢も万全ではありません。
医者が感染したら病院閉鎖です。
病院閉鎖されたらお産も人工透析も救急患者も・・・全部ストップです。
沢山死にます。
だから僕は声を枯らして中国人の入国を止めてくださいと叫び続けたのです。〉
百田氏のオトモダチである有本香氏にいたっては、こんなツイートすらしている。
〈勘違いしている人が散見されるが、入国制限と水際対策は全く違うもの。水際対策とは、空港や港湾で検疫等を行い病原体の侵入食い止める策。今回のケースではこんなものに効果はなく、私たちが主張していたのは入国制限。新規のVISA発給停止、現地の危険度を上げ航空・船便を絞り人の往来を止めること。〉
勘違いしているのは有本氏だろう。「水際対策は効果がないが、入国を制限すれば感染は防げる」なんて、いったい、どんなシミュレーションをしたらそんなことが言えるのか。中国以外の第三国で感染者と接触して感染するという二次感染、三次感染も起きていると考えるのが自然だ。「中国人の入国禁止」や「渡航履歴のある者の入国制限」程度で、ウイルスをシャットアウトできるはずがあるまい。
しかも、繰り返すが、百田氏や有本氏ら極右文化人たちは、国内での感染が確認され、すでに感染が広がっていると思われる段階になっても、いまだに「中国人を入れるな」とがなりたて続けているのだ。
この整合性のなさをみれば、彼らが国民の健康や安全を守るために意見を表明しているのではなく、たんに中国人の排斥とヘイトをバラまきたいだけ、というのがよくわかるだろう。これこそが“イデオロギー”というやつではないか。しかも、そのイデオロギーは偏見や差別を助長させるのはもちろん、パニックによって正確な情報を得られず、感染を広めてしまう可能性もある。