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池上彰とカズレーザーがフジ特番で日韓右派合作のフェイク本『反日種族主義』に丸乗っかりして韓国ヘイト! その間違いを徹底検証する

 『反日種族主義』のインチキの典型はやはり、戦前に朝鮮半島から日本へ動員された徴用工をめぐる問題を“否定”するくだりだろう。同書では、著者のひとりである李宇衍(イ・ウヨン)氏が、日本で重労働を強いられた朝鮮人徴用工たちの「強制連行」や「強制労働」を〈明白な歴史の歪曲〉〈誇張を超えて歪曲、率直に言って捏造〉などと主張。戦時の朝鮮人徴用工には前期から「募集」「官斡旋」「徴用」に分かれていたが、前の2つは朝鮮人たちの日本で働きたいという「自発的な選択」に任されたものであり、国民徴用令に基づく「徴用」も〈当時の朝鮮の青年たちにとって日本は、一つの「ロマン」でした〉などと言って〈朝鮮人労務動員を全体的に見ると、基本的には自発的であり、強制的ではありませんでした。強制連行だったとは言えません〉などと述べている。

 番組でもこれを受けて、池上彰が「強制的に連れてこられたのは(国民徴用令後の)1944年9月から」「彼らが実際どういう労働環境だったのかとか、働いていた時期や場所によってかなり違うんじゃないか」などと、“解説”を披露していた。

 さらに韓国での取材ロケVTRのなかでも、2017年にソウル・龍山駅前に設置された徴用工を象徴する像に対して、李栄薫(イ・ヨンフン)氏が「1940年代に日本で働いていた朝鮮人労働者の写真を見ると、この銅像よりも健康的でちゃんとした服を着ていました」「この像のモデルは1920年代に北海道の炭鉱で撮影された日本人だと言われている」「問題は彼ら(朝鮮人労働者)の記憶が彼らの子孫によって伝えられているということなんです」などとコメント。これを受けて池上が、「つまり虚偽の歴史によって過去の歴史が上書きされていくという、そういうことが続いているわけですね」とまとめ、三田アナウンサーが「そういった間違った写真を教科書だとか、こういった石碑などに使って、厳しい言い方をすると韓国は恥ずかしくないんでしょうか」などと述べるという一幕まであった。

 しかし、これらこそ歴史的事実を無視した明らかなミスリードとフレームアップだ。たしかに、徴用工は1939年からの「募集」、1942年からの「官斡旋」、徴用令に基づく1944年からの「徴用」と段階的に進んできたが、いずれも日本政府の閣議決定を経た、日本の行政機関による強制性を伴ったものだった。

 たとえば「募集」にしても、「民間企業が自由に朝鮮人を集めて日本に連れてきた」というようなものではなく、各企業から申請された「移住朝鮮人」の数を厚生省が査定し、内地からの指示で朝鮮総督府が自治体に割りふり、その指定を経て、現地の日本人警察官らと一体となって行われていた。

「官斡旋」の形式においても、その強制性を当時、朝鮮の労務動員を担う部局の職員自身が語っている(外村大『朝鮮人強制連行』岩波書店)。1943年11月に東洋経済新報社の主催で朝鮮総督府の官僚や企業幹部らが出席した座談会で、朝鮮総督府厚生局労務課の職員は、労務者の取りまとめが「非常に窮屈」であるから「仕方なく半強制的にやってゐます」として、こう証言を続けている。

「その為輸送途中に逃げたり、折角山〔鉱山〕に伴れていっても逃走したり、或ひは紛議を起すなどと、いふ事例が非常に多くなって困ります。しかし、それかと云って徴用も今すぐには出来ない事情にありますので、半強制的な供出は今後もなほ強化してゆかなければなるまいと思ってゐます」

 こうした状況について朝鮮総督府上層部も把握していた。1944年4月の訓示のなかにも〈下部行政機関も又概して強制供出を敢てし〉との文言があることから、強制的な動員が行われていたことを当局が認識していたのは確実なのである。

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