世界中に激震が走るなか、ポップコーンを買って映画を観て、「楽しかった」と笑顔で話す……。唖然呆然とするほかないが、驚くことに安倍首相はその後、ホテルに立ち寄ったあと、まさかの私邸に帰宅。公邸に宿泊することもなく、さらに本日は朝7時33分に私邸をあとにすると、8時24分に千葉県袖ケ浦市にあるゴルフ場「カメリアヒルズカントリークラブ」に到着。籔本雅巳・錦秀会グループCEOや昭恵夫人の弟である松崎勲森永商事社長らと今度はゴルフを楽しんだのだ。
しかも、安倍首相はゴルフ場で記者団に中東情勢について問われると、こう述べた。
「今月、諸般の情勢が許せば中東を訪問する準備を進めたいと思っている」
アメリカやイランに対して自制を呼びかけることがなかったばかりか、自衛隊中東派遣問題についても言及さえしない──。いや、そもそもなんでアメリカとイランの“橋渡し役”を世界にアピールしてきた人物が、戦争がはじまりかねないと世界が緊迫するなかで、何事もなかったように平然とゴルフなんかやっているのか。
その上、愕然とさせられたのは、河野太郎防衛相の言動だ。
前述したように、共同通信は昨日9時台に米軍によるソレイマニ司令官殺害を伝え、SNS上でも情報が拡散されて世界が騒然としていたというのに、河野防衛相は午前10時39分、〈親が河野太郎のツイッターを河野太郎だと信じない なぜだ… 防衛大臣そんな暇じゃないでしょとか言うけどどうなんだ…〉というTwitterユーザーのツイートに反応して〈そんな暇じゃない。〉と投稿。「そんなツイートしている場合か」とツッコまずにいられないが、さらにアメリカ・イラン両国要人の反応が報じられていた午後3時9分には、〈河野太郎さんってジョニーデップに似てる(笑)〉というユーザー投稿に対して〈逆。〉とツイートしていたのである。
ちなみに、ソレイマニ司令官殺害を受けてドイツのマース外相は昨日、〈今は状況がさらにエスカレートして地域全体に火がつくのを防ぐことが大事だ〉とツイートし、フランスのルドリアン外相も同じく昨日、「すべての当事者に対して自制を求めるとともに、イランに対して地域の不安定な状況を悪化させたり、核開発で危機をもたらすような行動を避けるよう求める」と声明を発表している(NHKニュース4日付)。
一方、日本では安倍首相も茂木敏充外相も河野防衛相も、4日20時現在、一言も中東情勢に言及していない。
映画鑑賞とゴルフに興じる総理大臣に、“ジョニー・デップが俺に似ている”などとくだらないツイートをして遊ぶ防衛相……。これほどまでに情勢が緊迫し、それでなくても日本は自衛隊派遣を閣議決定していることから国民にも不安が広がっているというのに、安倍首相や河野防衛相は声明の公表はおろか、事態に対する受け止めも情報発信も何一つおこなっていないのである。
今回の米国の軍事行動について、日本政府は米国から何も知らされていなかったという。
安倍首相周辺はイランと米国の仲裁をするなどというPRをふりまいていたが、それどころか、安倍首相は何も知らず、国民に何も説明できないがために無視を決め込むしかなかったのではないか。
いずれにしても、戦争危機に、国際社会のリーダーのひとりとして自制も呼びかけられず、国民に何も説明できない総理大臣と防衛相。日本も巻き込まれる可能性が高いのに、黙るしかないとは無能の極みだが、それはマスコミも同じ。海外メディアがアメリカとイランの切迫した状態を大々的に伝えている一方、日本のテレビはカルロス・ゴーンの逃亡問題ばかり取り上げ、アメリカ・イランの問題はまるで対岸の火事のようにさらっと伝えるだけだ。
戦争の危機に世界が震えるなか、パラレルワールドのように安穏とした正月の時間が流れるこの国。安倍政権とそれに飼い慣らされたメディアの「平和ボケ」はここに極まれり、といっていいだろう。
(編集部)
最終更新:2020.01.04 11:17