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東京五輪ボランティアと同種の仕事に「時給1600円」求人の不可解! 派遣元はパソナ…五輪組織委に疑惑を直撃

 しかも、この「時給1600円スタッフ」の新募集には、さらに大きな問題がある。というのも、この有償スタッフの募集を手がけているのは人材派遣大手のパソナだからだ。

 言うまでもなく、パソナグループの取締役会長といえばあの竹中平蔵氏。パソナグループは、安倍政権下でも国家戦略特区における神奈川県の家事支援外国人受入事業の事業者に選ばれたりと、政権に食い込んでいる。また、竹中氏は安倍首相が議長を務める「未来投資会議」の民間議員も務めている。いわば、安倍政権の“お友だち企業”なのだが、実は、パソナグループは人材派遣会社で唯一、東京オリンピック・パラリンピックの「オフィシャルサポーター」契約を結んでいる。

 だとすれば当然、無償ボランティア12万人の「余剰人材」があるのに、わざわざパソナを通じて高時給スタッフを新募集しているのも、一種の利益誘導ではないかとの疑いが生じるだろう。

 大会組織委戦略広報課によれば、有償アルバイト2000名をパソナからの派遣で募集するという。なぜパソナかというと〈「人材サービス」カテゴリにおけるオフィシャルスポンサーだからです〉の一点張り。パソナに支払われる金額についても質問したが、〈個別案件ごとの派遣契約〉とだけ回答し金額は明かさなかった。さらに事業者を選ぶための競争入札などは行われたのか、という質問にはこう回答した。

〈パソナに限らず、パートナーには、契約によって商品・サービスを供給する機会があり、今回は、競争入札は行っておりません〉

 つまり、競争入札にすらかけず、職員やボランティ以外の有償アルバイトは全部パソナとの契約になるということらしい。こんなアンフェアが「オフィシャルスポンサー」というだけで許されるのか。

 そもそも「オフィシャルスポンサー」というのは、言うまでもなく「スポンサー」なのだから、本来オリンピックやパラリンピックのためにお金を提供する側だと思うが、実のところ「一業種一社」の原則の「オフィシャルスポンサー」の名のもとに、むしろほぼ独占的に利権を享受しているという実態があらためて明らかになったと言えるだろう(東京五輪の場合、新聞社のように「特例共存」でスポンサーが膨れ上がっていることも大きな問題だが)。

 無償ボランティアは、その募集要綱には〈1日8時間程度、連続して5日以上で合計10日以上できる人、事前の研修にも参加できる人〉とあるように、「本人の希望」をいいことに、長期間拘束されたあげくタダ働きさせられる。一方で、安倍政権ともつながる“お友だち企業”には、まるで特別扱いかのような有償アルバイトの派遣契約を結んでいる。すでに招致をめぐるスキャンダルなどで、利権と汚職の温床であることが判明している東京五輪。このままでは本当に“負の遺産”になってしまうだろう。

最終更新:2019.11.29 03:38

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