萩生田文科相はこのほかにも、さらに絶句するような答弁を連発した。
たとえば、もっとも高い英語民間試験はIELTSで、2回受けると5万760円もかかるのだが、国民民主党の城井崇議員は「経済的に厳しい生徒でも負担可能か」と質問。すると、萩生田文科相はこう答えたのだ。
「経済的に困難な受験生がどの程度の検定料等であれば負担可能かどうかは一概に申し上げられません」
最大で5万760円もかかるというのに、「経済的に困難な受験生が負担可能かどうかは一概に申し上げられない」って──。しかも、萩生田文科相は軽減される場合の金額についても「軽減額は試験団体において検討中」と民間に丸投げした上、「一定のご負担はおかけにするということになる」と述べたのである。
萩生田文科相は経済的に困窮した家庭にとって5万760円の出費がどれほど大きいものなのか、想像もできないというのか。しかも、受験生が負担しなければならないのは英語民間試験の費用だけではない。大学入学共通テストの検定料は現行のセンター試験と同額に据え置く方針(センター試験は3教科以上で1万8000円、2教科以下で1万2000円)だというが、それにプラスして国公立大の個別(2次)試験では1校につき平均1万7000円、私立大の一般入試も3万~3万5000円、医学系などの大学の場合には4万円以上かかることもある。その上、英語民間試験対策のための参考書などの費用もかかってくる。「一定のご負担」どころの話ではないのだ。
そして、ここに地域格差までもが加わる。城井議員は「北海道の稚内に住む受験生が、語学力の国際標準規格CEFRでいうC1以上をめざす場合」を例として取り上げ、導入される民間試験で費用が比較的安い「GTEC」のCBTタイプを2回、練習受験を1回、民間試験実施団体の公式教材を仮に6000円で購入した場合、交通費も含めると7万3500円もかかると指摘。稚内市内から札幌までは往復10時間以上かかるため、さらにここに宿泊費がかかることになるが、これが「最低ライン」なのだ。