いや、問題はツイートの内容だけではない。安倍首相はこの日、総理大臣の行動としても、本当に被災者を見捨て、ラグビーに夢中になっていた。
16時44分からおこなわれた非常災害対策本部会議で「とにかく人命第一だ。浸水により孤立した住宅などからの救助や、安否不明者の捜索に全力で当たってもらいたい」「夜を徹して作業に当たってほしい」などと指示しておきながら、安倍首相自身はなんと、17時34分に首相官邸を後にし、富ヶ谷の私邸に帰宅してしまっていたのだ。そして、ラグビーの試合が終わったわずか約10分後に、くだんのツイートが投稿された。
18時過ぎに安倍首相の帰宅を首相動静で知って、ツイッター上では、「ラグビーを見るために帰ったんじゃ」「まさか今頃、私邸でラグビーを観戦しているんじゃ」という疑念の声が広がっていたが、本当に安倍首相は、夜を徹して救助作業に当たっているスタッフをよそに私邸に戻り、テレビで呑気にラグビーワールドカップの日本戦を観戦していたのである。そして、台風上陸時には一切何も発さなかったというのに、日本代表が勝利するとすぐさまツイートを更新し、〈被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるもの〉などと無神経の極みである投稿をおこなったのだ。
本サイトでは安倍首相が今回の台風19号で見せた「やってる感ポーズ」について、台風15号のときの対応を批判されたためアリバイ的にやっているだけで、実際はなんの中身もなかったことを指摘。首相自らが国民に最大級の警戒を呼びかけるべき状況だった12日、会見どころか、避難を呼びかけるツイートひとつしなかったことについて、国民から「首相の声が聞こえてこない」「安倍首相には国民に寄り添う姿勢がない」という声が上がっていることを伝えた。そして、〈安倍首相の災害への無関心の根底には、おそらく、自然災害による被害も国民の自己責任という残酷な思想がある。だからこそ、何度批判されても迅速な災害対応がとれないばかりか、被災地を蔑ろにするような言動を平気でとるのだ〉と批判した。
今回、被災地を引き合いに出してまでラグビー日本代表の勝利に小躍りしてみせた行動を見れば、その指摘の正しさがわかってもらえるはずだ。
しかも、この被災者への冷酷と無責任は安倍首相にかぎった話ではない。13日、自民党の役員会では、二階俊博幹事長が「いろいろ言われていたことからすると、まずまずには収まったと感じている」と発言した。死傷者が多数出て、さらには甚大な被害がおよんでいるというのに、「まずまずには収まった」などと述べることは被災地を冒涜する発言であり、責任問題に発展する暴言だが、この無責任さこそが安倍政権の姿勢なのである。
災害が多発するこの国で、このまま安倍首相とその一味に災害対応を任せていいのか。対応の検証とともに、国民ひとりひとりがよく考えてみるべきだ。
(編集部)
最終更新:2019.10.14 09:29