安倍首相公式Twitter
東海、関東・甲信越、東北をはじめとして広範囲にわたって大きな爪痕を残した台風19号の被害が拡大しつづけている。NHKの本日20時台の情報では、全国で58人が死亡、14人が行方不明。さらに、関東甲信越や東北といった被災地では今晩、雨が降っており、さらなる川の増水や土砂災害に心配の声が集まっている。
いまだに被害の全容さえはっきり見通せていない台風19号だが、しかし、そんななかで、安倍首相から思わず目を疑うようなツイートが投稿された。
いまよりもっと深刻な状況だった昨晩21時56分、安倍首相はこんなツイートをおこなったのだ。
〈東日本大震災でもスポーツの力を実感しましたが、世界の強豪を相手に最後まで自らの力を信じ、勝利を諦めないラグビー日本代表の皆さんの勇姿は台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるものだと思います。日本代表初の決勝トーナメントでのご活躍を期待しています。〉
そう、安倍首相は人命救助の分岐点である発災後72時間以内という一刻を争うなかにあって、ラグビー日本代表のスコットランド戦勝利に大はしゃぎ。〈台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる〉などと、台風被害をすっかり過去の扱いにして、上から目線で被災者を説教したのである。
当然、このツイートに国民からこんな批判が殺到した。
〈おかしいよ。。。被災地の人はラグビーどころじゃない。自分の家が浸かってるのに。絶対配慮ない。〉
〈亡くなったり怪我をされた方々、家や車が流されたり水浸しになった方々が多数いる。避難所で同じ事を言えますか?〉
〈被災された方々は、正直それどころではないと思います。そういう想像力をもたないあなたは、総理の資格はありません。即刻お辞めになるべきです。〉
〈年月を経過した時に言う言葉だよ。被災直後に一国の首相が口にする言葉じゃない。〉
〈被災者はラグビーを見ている余裕などありません。ましてや家族を亡くしたり、家族の行方がわからない人の不安や悲しみが癒されるはずもありません。言葉が軽すぎます。〉
まさに指摘のとおりだろう。安倍首相のツイートが問題なのは発災から時間が経っていないというだけではない。昨晩のこの時間帯、利根川では氾濫危険水位に到達したことから、千葉県成田市や千葉県香取市、千葉県銚子市といった地域で警戒レベル4の避難勧告が出されていた。また、宮城県丸森町や長野県長野市をはじめとして多くの地域で孤立状態に陥いっていた人びとも数多く存在し、たとえば長野市の介護医療院で取り残されていた人びとは〈停電が続いて食べ物が足りず、患者たちはゼリーなどでしのいだ〉(朝日新聞デジタル14日付)という。さらに、経産省の14日7時発表の情報でも停電戸数は約9万戸に達している。
つまり、多くの人びとが危険と隣り合わせで救助をひたすら待ち、避難所で不安な夜を過ごし、あらためて言及するまでもなく大事な人を災害によって失ったり安否が確認できない、そんな状態のなかにある人がいた。そうでなくとも、多くの人びとが被災している真っ最中にあり、停電でスポーツ観戦しているような環境にはなかった。
ようするに、この国の総理大臣はそうした被災者の存在を一顧だにしていなかったのだ。無神経、無責任にもほどがあるだろう。