萩生田氏の名前は他の箇所でも出てくる。それは、前述の下村博文文科相の「霊言本」にかんするくだりだ。「弁明請求書」によれば、2014年6月の「霊言本」出版の前日にあたる6日、下村氏本人から幸福実現党の上條幸哉氏に電話があったという。そこで下村文科相はこう話していたというのだ。
〈「本をストップすることで、やりようはまだある。まだ、間に合うから。役人がコピーを持ってきた。それを見て驚いた。罵詈雑言が書いてあるではないか。これまで、萩生田から電話があって、一生懸命やっているとは聞いていた。学部名はクリアして、あとは九鬼という人が学長でなければならないというところを、一年我慢してバトンタッチするやり方はあると提案していたが、…とにかく、誹謗中傷の内容である。今だったら、対応の仕方がある。本部のしかるべき人に話をしてくれないか。本(霊言書籍)のストップ(出版中止)は当然のことだ。(中略)今だったら対応の仕方がある。」〉(同上)
この通話内容が事実だとすると、萩生田氏は学園側と文科省側を「仲介・調整」していただけでなく、下村博文文科相にも幸福の科学大学の開学を直接かけあっていた、ということになるだろう。これは、文科省、大学設置審による正当な審議過程を歪めようとする行為としか思えない。
ところが、そんな萩生田氏が今回、内閣改造でその大学設置の責任者である文科相に抜擢されたのである。そして、幸福の科学も前述のように、再び大学設置認可を申請する動きを確実にしているというわけだ。
前回の幸福の科学大設置不認可をめぐっては、文科省は2015年4月、〈不正な行為があった〉などとして「14年10月から5年間の設置を認めない」旨を幸福の科学学園へ通知した。5年の期間が切れる今年、奇しくも文科省のトップに座ったのが、萩生田大臣だったのだ。
ちなみに、萩生田氏の仲介・調整を綴っていた幸福の科学の「弁明請求書」の全文は以前は、幸福の科学のホームページにもアップされていたが、最近、該当箇所をクリックしてみたところ、「Not Found」になっていた。
それにしても、今回、大学の設置の認可責任者になった萩生田文科相はこの再申請にどう対処するのだろうか。ここで、忘れてはならないのは、萩生田氏は同じ教育行政をめぐる加計学園問題の“キーパーソン”だったという事実だ。