もっとも、そんな上田の注意にもかかわらず、討論のなかでは、せいじが“韓国叩きワイドショー”そのもののヘイトまがい発言を繰り出した。
せいじ「いまはちょっともう(韓国と仲良くするのは)無理やん。嘘ついたりするから。大人の話し合いでかたっぽが嘘つくとか、そんなことされたらもう進まへんから」
しかし、この暴論に待ったをかけたのが、評論家の古谷経衡氏だった。やりとりを再現してみよう。
古谷「嘘ってなんですか?」
せいじ「たとえばあれ、たとえばお金10億もろたけど、みんなに配ってなかったとかさ」
古谷「それは韓国国内の処理であって嘘とは言いませんよね」
せいじ「いや俺はわからへんけど」
古谷「もうちょっと勉強されてください」
「10億」というのは2015年末の「慰安婦合意」のことを言っているのだと思われるが、「配ってなかった」のではなく、合意に反対する元慰安婦が「受取りを拒否」したのだ。そもそも戦争犯罪をカネで封じ込めようという「慰安婦合意」や日韓請求権協定の欺瞞や問題点をよく知りもしないまま、雰囲気で“韓国は嘘つき”と言っているのを喝破されたせいじは、「あの人(古谷)の圧はすごいやん。なんなんアイツ!」と吐き捨てるのが精一杯だった。
番組はその後も、次から次に「韓国が悪い」と主張する出演者の欺瞞を古谷氏が的確ツッコむかたちで進んでいく。
たとえば、「韓国とは仲良くしなくていい」という立場の東国原は自分のプレゼンのなかで、討論者投票では「仲良くしたほうがいい」が圧倒したことが受け入れられないのか、こんなことを言い出した。
「今日思ったのは、これ7割が青(「韓国と仲良くしたほうがいい」)じゃないですか。これ、韓国で同じ調査をしたら逆になりますよ。なります。確実になります。つまり日本国民というのはこれだけ温厚なんですよ。非常に我慢強いですね。日本国内で不買運動してますか? 韓国製品の。してないですよね。韓国の文在寅の写真焼いたり踏んづけたりしてますか? 日本でね。してませんよね。僕ぐらいですよ、文句言ってんのは」
何を言っているのだろう。日本のテレビをひねれば、東国原だけじゃなく、それこそほとんどが「文句」を装って韓国へのヘイトまがいの言説をぶちまけているのが現状ではないか。