そう、NHK新潟は1月14日に開かれたAKSの会見で、松村匠取締役が秋元氏に「叱責されました」と語ったことにこそ、ガバナンスの問題があると指摘したのだ。そして、この問題について「企業のガバナンスに詳しい専門家に話を聞いた」として、若槻良宏弁護士のこんなコメントVTRが放送された。
「記者会見をしている取締役を叱責する別の人物がいるっていうのは、それはガバナンスとして機能しているのかというところは疑問として残るんだろうと思います。本来であれば、監督を受ける立場というのは上司であったり代表取締役であるわけですけれども、そうではない方(秋元氏)から指揮・監督・命令を受けているとなると、まさにガバナンスが問われるんじゃないかと思うんですね。この会社はいったい誰が意思決定をしていて、誰が責任を負っている会社なのか、ということが不明瞭になるような発言だったんじゃないかと思うんですよね。あの発言があることによって、まわりが疑心暗鬼になりますよね」
このコメントを受けて、アナウンサーが「なるほど。やはりちょっと専門家の観点から言ってもおかしいんではないかということですね」と念押し。記者が「やはり経営トップの吉成社長やグループをプロデュースしてきた秋元さんが前面に出て、どうガバナンス体制の見直しに取り組んでいくのか。それが問われているんだと思います」と締めた。
つまり、NHK新潟は、秋元氏が「運営統括責任者」である松村AKS取締役を「叱責」できる明らかに“上の立場”であり、“事実上の最高責任者”であることを示唆。にもかかわらず、秋元氏の存在が隠され、表に出てこないことが、組織を歪にしている最大の原因だと指摘したのだ。
まさに何から何まで、NHKの言う通りだろう。実際、秋元氏がNGTの“事実上の最高責任者”であることを「証明しているのは、NHKが例あげた松村取締役の「叱責」発言だけではない。そもそも、今回のトラブルの元凶と言われる今村悦朗・前NGT48劇場支配人や松村AKS取締役じたいが、秋元氏の息のかかった人物なのだ。
今村氏はNGT48劇場の支配人となった際、〈秋元(康)さんとは25歳のときからの付き合いだから約30年〉(「週刊プレイボーイ」2015年3月30日号/集英社)と語っていたし、松村氏は元フジテレビ社員で、秋元氏が関わってきた『とんねるずのみなさんのおかげです』でAD、ディレクターを務めてきた。