しかし、こうした木村や玉川、山口といったコメンテーターをさらに上にゆくズレたコメント、いや「暴言」を連発した人物がいた。『バイキング』(フジテレビ)の東国原英夫だ。
東国原はまず、4年制大学進学率が男子55.6%に対して女子48.2%と差があることについて、上野が「成績の差ではありません。『息子は大学まで、娘は短大まで』でよいと考える親の性差別の結果です」と話したことを「本人の意思もある」と反論。その理由は、こうだ。
「女性が手に職をつける、看護師だとか保育士だとか衛生士だとか調理師だとか美容師だとか。そういう方は4年制大学は捨てる」
看護師が「看護婦」、保育士が「保母さん」と呼ばれてきた歴史が物語るように、それらが女性の専門職と見なされてきたのは性的役割分業と切り離せないし、それは女性にあてがわれた数少ない職業だった。いまではその是正も徐々に進んでいるが、それでもいまだに女性の職業とみなし、「本人の意思で4年制大学を選ばない」根拠にするのだから、よくこれで県知事など務めたものだとあきれるほかない。
だが、東国原の噛みつきは続いた。上野が「世の中には、がんばっても報われない人、がんばろうにもがんばれない人、がんばりすぎて心と体をこわした人たちがいます。がんばる前から『しょせんおまえなんか』『どうせわたしなんて』とがんばる意欲をくじかれる人たちもいます」と述べたことに対し、こんなことを言い出したのだ。
「あのなかでひとつだけ足りないのは『がんばらない人がいる』ということを言っていないですよね。世の中にはがんばらない人がいるんですよ。がんばれるのに。その方たちをどうするかっていう問題提起はされていないなって僕の疑問でしたね」
「がんばろうにもがんばれない人」を、自己責任論者は「がんばらない人」と呼ぶ。こうした自己責任論者の存在があるからこそこのスピーチはおこなわれたはずだが、それを東国原は理解できないのである。