マリーモンドが伝えるメッセージは日本社会においても広く伝えられていくべきものだ。性暴力や性差別の問題は国境を超えた普遍的なイシューだからである。北原氏は前掲サイトのインタビューのなかでこんなことも語っている。
「男性にも考えて欲しいんです。『慰安婦』の問題は、国から『男の性なんてこんなもの』と烙印を押されているようなものですよね。それでいいの?と。日韓という国家間ではなく、男女問わず『個人の痛み』の物語だと受け止めて、それを花によって祝福し尊厳を回復する。そんなブランドメッセージを伝えていけたらいいですね」
実は『モーニングショー』のなかでも、不当な「反日ビジネス」扱いを問題視する場面はあった。水曜コメンテーターを務める「AERA」(朝日新聞出版)元編集長で「BUSINESS INSIDER JAPAN」編集長の浜田敬子氏が、番組のなかで、「マリーモンドは反日ビジネスとはちょっと違うと思います。これは(元従軍慰安婦の)おばあさんたちを支援しようというのと同時に、「#MeToo」とかもやっていて、日本にもお店が出ていて、デザインが可愛いから日本の女の子にも人気なんですよね」と、マリーモンドを「反日ビジネス」なる括りに入れようとする番組サイドに苦言を呈した。
今回の『モーニングショー』のように誤った認識を撒き散らすことは、マリーモンドのみならず、「慰安婦問題」に関する誤った認識を日本社会に撒き散らすことでもある。浜田氏は続けてこのように語っている。
「逆に、一緒にくくることで、メディア側も『反日ビジネスがこんなに盛況』とステレオタイプになってしまうのかなと。マリーモンドのカバンを持っていた成田の空港のスタッフの女の子が日本人の人からすごく文句を言われるみたいなことがあって。そういうイメージをつけてはいけないと思うんですよね」
浜田氏の指摘通り、今月には、韓国のチェジュ航空から成田空港での地上業務を請け負っているFMGという日本企業が、勤務中にマリーモンドの製品を使用しないよう命じていたことが明らかになっている。
中央日報によれば、昨年11月に入社した韓国人のスタッフは、日本人のマネージャーから繰り返し指導を受けたという。その理由は、マリーモンドのエコバッグを持っていたからだった。結果的にそのスタッフはバッグの使用を控えざるを得なかったという。