安倍首相の“自衛官の子どもがいじめられている”話は防衛省幹部からも批判されている。
毎日新聞が昨年10月3日夕刊の時点で、「安倍首相の『かわいそうだから改憲』 自衛隊明記で解決するのか」という特集記事を掲載している。事実確認のため、安倍首相の事務所に「子どもに泣かれた自衛官はどんな人で、実際にあった被害は何なのか」「自衛隊を違憲だという憲法学者や人数を把握しているか」などと質問状を送ったところ、期日までに回答はなかったという。しかも、記事では、防衛省の現役幹部のこんなコメントが掲載されていた。
「安倍首相が(改憲論の中で隊員の)子どもの話を持ち出すのは情緒的過ぎます。30年前ならともかく、とても現在の話とは思えません」
「人材確保やPKO派遣先の精査など、改憲よりも先にやるべきことはたくさんある。本質的には『自衛隊はどうあるべきかを国民全体が考えること』が求められているのです。自衛官の家族が気の毒だからとか、一時の政局を改憲の理由にされたら、任務に命を懸けている真面目な隊員たちが『やってられない』と思うのは当然ですよ」
でっちあげプロパガンダのにおいがどんどん濃厚になってきた安倍首相の「現役自衛官が息子に『お父さんは違憲なの?』と言われた」なる話だが、それ以上に考えなくてはならないのは、この“改憲”のロジックのおかしさだろう。仮にその現役自衛官が実在していたとして、なぜいじめそのものを解消するのでなく、ウン百億円もかけて、国際的な評価を受けている日本国憲法を変えようというのか。
安倍首相は「自衛隊加憲でもなんら変わることはない」などと言っているが、
こんな詐術を駆使する政権や人物のいうことなどとても信用できない。実際、もし、自衛隊加憲が現実になれば、強行成立させた安保法制以上に、なし崩し的に自衛隊の軍事活動が拡大されていくのは目に見えている。殉職した自衛官の子どもに、安倍首相はきっと「お父さん、合憲なんだよ」と微笑むのだろう。
(編集部)
最終更新:2019.02.27 11:29